夏風邪の原因「アデノウイルス」...医師が教える「おうちケア」と「NG行為」

子どもが怪我や病気をしたらどう対応すれば良いでしょうか。すぐに救急? かかりつけ医でOK? わからないことばかりで不安を抱えているパパ・ママも多いはず。そこで今回は小児科医が書いた「ママ・パパ向け 家庭の医学」である『行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア』を紹介します。著者は「たけつな小児科クリニック院長」で、年間約3万人の子どもを診る小児科医・竹綱庸仁先生。子育ての不安を解消するアドバイスが満載の本書から、内容を抜粋してお届けします。

※本記事は竹綱庸仁 著の書籍『行列のできる子ども健康相談室』から一部抜粋・編集しました。

【前回】赤ちゃんへの「薬の飲ませ方」を小児科医がレクチャー! 嫌がったらどうする? 何に混ぜると良いの?

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さまざまな症状を持つ夏風邪の原因

アデノウイルス感染症

かかりやすい時期:夏
かかりやすい年齢:全年齢
潜伏期間:2~14日
回復までの日数:10日程度
登園・登校:不可(※結膜症状の改善からおおむね2日たてば可)
予防接種:なし


アデノウイルスは夏風邪の一種で、50種類以上の型があり、ウイルスの型によって症状が異なります。

プール熱や、結膜炎も、アデノウイルス感染症の1つです。

主な症状は39℃から40℃の高熱と目の結膜や喉の粘膜の炎症ですが、ときに高熱を伴った下痢、嘔吐などの胃腸炎を引き起こすこともあります。

臨床経験ではアデノウイルスはほかの風邪ウイルスと異なり、5~7日程度発熱が持続します。

ウイルス感染であるため、発熱時の解熱剤や下痢の際には整腸剤を内服するなど症状に応じた治療を行います。

プール熱(咽頭結膜熱)

プール熱の特徴は高熱と喉の痛み、目の結膜充血です。39℃から40℃の発熱が3~5日持続し、1週間高熱が持続する場合もあります。

流行性角結膜炎(はやり目)

両方の目が真っ赤になり、その症状が2週間持続することもあります。


救急or病院 チェックリスト

救急車を ★★★ 夜間・休日診療へ ★★☆ かかりつけ医の診察時間に受診 ★☆☆

□ 5日以上高熱が持続している ★☆☆
□ 嘔吐を繰り返している ★★☆
□ 結膜炎症状がある ★☆☆


治療

アデノウイルスも風邪の一種なので、自然治癒します。

おうちケア

●積極的な水分補給を

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39℃から40℃近い高熱が持続することが多いので、熱とともに汗として体内から水分が失われやすい傾向があります。できる限り水分の摂取を行いましょう。

●胃腸炎の症状があるときは整腸剤を内服し、食事にも注意
アデノウイルスは複数の臓器に影響を及ぼし、ときに下痢、腹痛などの症状が出る場合があります。そのときは整腸剤を飲ませ、消化の悪い食べものや乳製品、脂っぽいもの、冷たい食べものは控えるようにしましょう。

●タオル、食器は共有しない
アデノウイルスは非常に感染性が強く、タオル、食器を共有することで家族に感染する場合もあります。料理をとり分ける際は、とり箸を使うといった工夫が必要です。結膜炎を起こしている場合にはタオルの共有は控えましょう。

《小児科の診察室から》

アデノウイルスは39 〜40℃の高熱が1 週間持続することもあります。そのため、水分摂取が少ないときや活気のないときには、ためらわずに解熱剤を使用しましょう。なお、自分の免疫力で治癒するウイルスのため、必ずしも検査で陽性を確定させる必要はありません。

イラスト/堀川直子

 

竹綱庸仁

たけつな小児科クリニック院長。小児科専門医、小児科指導医、地域総合小児医療認定医。愛知医科大学医学部卒業後、附属病院で臨床研修医として勤務。ときに「たけつな渋滞」が起こるほどの信頼を得て、年間約3万人の子どもを診るクリニックのほか、共働きの親が病気の子どもを預けられる「病児保育室バンビ」、言語発達遅延を持つ子どもに個別の言語訓練を行う児童発達支援「のびいく」を立ち上げる。

※この記事は『行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア』(竹綱庸仁/KADOKAWA)からの抜粋です。
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