足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
【前回】医師が教える「足マッサージ」で老廃物を排出! 「下肢静脈瘤」の治療にも効果的
弾性ストッキングでむくみやだるさを解消して足スッキリ
弾性ストッキングとは、弾力性のあるストッキングのことです。
足首にいちばん強い圧力がかかり、上に向かって圧力が弱くなる段階的圧力構造で、締めつける力によって、足に滞った血液の流れを促す効果があります。
ときどき「スポーツ用のサポーターでもいいですか?」という質問がありますが、サポーターは段階的圧力構造ではないのであまり効果は期待できません。
弾性ストッキングには、ドラッグストアなどで購入できる市販品と、医療機関で処方される医療用の2種類があります。
市販品は着圧ソックスや着圧ストッキングと呼ばれていて、医療用に比べると締めつける力が弱いですが、手軽に購入できます。
圧力が強いのは医療用。
ただし圧力が強いぶん、皮膚が弱い方は密着によってかぶれることもあります。
足のむくみやだるさが軽ければ、まず市販品を1~2週間試してみましょう。
効果がなかったり、悪化したりした場合は、医療機関を受診しましょう
弾性ストッキングは種類がたくさんあります。
自分にどれが合うかは、形状、サイズ、圧迫圧の3つをチェックしましょう。
形状には、ハイソックスタイプ、太ももまでのストッキングタイプ、おなかまで覆うパンティストッキングタイプがあります。
ハイソックスタイプとストッキングタイプには、つま先のないものがあります。
効果はほぽ同じなので好みで選びましょう。
サイズは、足首やふくらはぎの太さ、靴のサイズなどによって選びます。
製品によって選ぶ基準が異なるので、自分に合ったサイズを選びましょう。
圧迫圧は、代表的なものとして弱圧、弱中圧、中圧、強圧があります。
市販品はほとんどが弱圧~弱中圧です。
慣れないと弱圧でもかなりきつく感じます。
通常は、弱めの圧から試して、物足りなければ強めの圧を選びます。
弾性ストッキングは、基本的に昼間立っているときにはきます。
朝起きてはき、入浴するときに脱ぐのがベストです。
はくのが苦手な人は、職場に行ったらはいて、仕事が終ったら脱ぎ、休日ははかなくてもかまいません。
弾性ストッキング
【選び方1】はきやすいタイプを選ぶ
ハイソックスタイプ、ストッキングタイプ(太ももまで)、パンティストッキングタイプ(おなかまで)があります。効果に大きな違いはありません。はきやすいのはハイソックスタイプ。
【選び方2】ピッタリサイズを選ぶ
足首やふくらはぎの太さを測り、各製品のサイズ表にしたがって選びます。足首とふくらはぎで選ぶサイズが違う場合は足首の太さに合わせましょう。
【選び方3】圧力の強さを選ぶ
圧力は弱圧~強圧があります。中圧が基本ですが、初めてはく場合は弱圧から試すのがいいでしょう。一般的に市販品の方が医療用より圧力が弱くなっています。
弱圧
20mmHg(27hPa)未満
弱中圧
20~30mmHg(27~40hPa)
中圧
30~40mmHg(40~53hPa)
高圧
40~50mmHg(53~67hPa)
※mmHgもhPa(ヘクトパスカル)も圧迫圧単位で、併記されている場合が多いです。
弾性ストッキングのはき方
(1)ストッキングの中に手を入れて、内側からかかとの部分をつまみます。
(2)かかと部分をつまんだまま、ストッキングをかかと部分までひっくり返したら、かかとが下になるようにして、はき口を左右に広げます。
(3)広げたはき口に足を入れてストッキングと足のかかと部分を合わせます。
(4)裏返した部分を両手で持ち、ひざに向かって表に返しながらはきます。
(5)全体にシワが寄らないように調整します。