2022年9月9日に「第7回 伊藤園 健康フォーラム 今日からはじめるフレイル予防」が開催されました。
健康フォーラムには、筑波大学の山田実教授、医薬基盤・健康・栄養研究所と国立健康・栄養研究所に所属する南里妃名子氏、伊藤園中央研究所の衣笠仁氏、三菱総合研究所の大橋毅夫氏が登壇。
フレイルの仕組みやフレイルの予防の紹介、「健康長寿の鍵を握るのは何か」をテーマにしたパネルディスカッションなどが行われました。
左から大橋毅夫氏、山田実教授、南里妃名子氏、衣笠仁氏
フレイルとは、加齢や疾患によって身体的・精神的な機能が衰えてしまい、心身のストレスに弱くなった状態のことを指します。
簡単に表現すれば、「健康な状態と要介護状態の中間の段階」です。
要介護になってしまうと健康な状態に戻すことは難しいと言われています。
その前段階であるフレイルは、生活習慣を変えることで心身を健康な状態に戻すことが可能とされています。
フレイルは、筋力・筋肉量の低下(サルコペニア)を代表とした身体的フレイル、認知機能の低下などの心理・精神的フレイル、他者と関わりを持たない閉じこもりなどの社会的フレイルなどに分類されます。
「体重減少」「疲労感」「歩行速度の低下」「筋力(握力)の低下」「活動量の減少」これら5項目のうち、3項目以上が当てはまる方はフレイル状態が疑われます。
特に、コロナ禍では外出自粛が叫ばれました。
その結果、他者と交流する機会や活動量が減少したことによって、肉体的にも精神的にも影響を受けた方が多いはず。
これらの包括的な対策として、山田実教授は「運動・栄養・社会参加がフレイル予防に大切」と説明します。
具体的な対策として「ボランティアやカルチャー教室などの社会参加を心がける」「ウォーキングや筋トレなど適度な運動で筋力をつける」「お茶会などを開いて、友人とコミュニケーションを図る」などが挙げられます。
介護予防(フレイル予防)と感染予防は相反する部分があります。
その点について、山田実教授は「コロナ禍で身体活動量や社会活動が制約を受けることが多いですが、家の周囲をウォーキングしたり、親族とLINEやメールでコミュニケーションを図ったりするなど、限られた状況でもできることに取り組んでほしい」と話します。
また、南里妃名子氏は食事からのアプローチとして、「1日のたんぱく質摂取量は38.7gを目標にすること」や「抗酸化物質の摂取を心がけること」を挙げていました。
抗酸化物質はフレイル予防に効果があると期待されています。
抗酸化物質を多く含む飲料の一つに緑茶が挙げられます。
衣笠仁氏は「ほうじ茶は焙煎して香りを出したもので、加熱によりカテキンの抗酸化物質が変化したり減少したりします。その点でも緑茶が(抗酸化物質が日本茶の中で)一番多いのではないかと思う」と話します。
年齢を重ねることは防げませんが、運動をしたり食事を変えたりなど、生活習慣を見直すことによって筋力や心の健康を保ち、フレイルを遠ざけることは可能です。
「筋力の維持と社会参加が重要」「たんぱく質と抗酸化物質の摂取がカギ」「お茶などを活用したコミュニケーションがフレイル予防に貢献」がフレイル予防のキーワードです。
こちらの健康フォーラムはYouTubeのライブ配信で行われ、現在もYouTube「伊藤園公式チャンネル」で視聴することができます。フレイル予防の知恵を身につけて、人生100年時代を豊かに生きていきましょう。