コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。
今日からすぐに始められる!たんぱく質量を増やす5つの工夫
1日3回の食事で、確実に、たんぱく質を補給
「たんぱく質は十分にとれている?」と心配になったら、昨日一日に食べたものを思い出してみましょう。
●朝食...目玉焼き・漬け物・豆腐のみそ汁・ご飯
●昼食...焼き鮭・おにぎり・お茶
●夕食...とり肉のソテー・野菜の煮びたし・みそ汁・ご飯
このような内容だったら、たんぱく質を70g程度はとれているはず。
体重が50㎏台の人なら、だいたい合格ラインの摂取量です。
しかし、もしも次のような食事内容だったら......。
●朝食...おにぎり
●昼食...そうめん
●夕食...きんぴら・おひたし・ご飯
高齢になると食欲の減退、咀嚼力や消化力の低下などが起こります。
調理もおっくうになり、簡単なものですませることもあるでしょう。
しかし、この内容では、あまりにもたんぱく質が足りません。
たんぱく質は体内に貯蔵しておくことができないこともあり、毎食、とらなければならないのです。
そこで、無理なくたんぱく質をとる方法を考えてみました(下記参照)。
朝食は、マンネリでもかまわないから、食べ方などを気にせずに、すぐ食べられるたんぱく質食品をプラス。
昼食は、つくることがめんどうにならないように、缶詰などの便利な市販食品を利用しましょう。
夕食では、自粛生活中にますますおなじみになった市販総菜やテイクアウトを活用!
ふだん、自分ではつくらないものを選ぶと、新しい味を楽しめるだけでなく、いつもと違う栄養素をとることができます。
高齢者で食が細くなっていたり、体重の減少が気になっている人などは、脂質のことはあまり気にしなくて大丈夫。
とりもも肉のから揚げ1枚分(250~300g)を半分でも食べれば、20g程度のたんぱく質をとることができます。
ゆで豚ややきとりもおすすめ。
コンビニなどで人気の「サラダチキン」も、高たんぱくで低脂質で、「かたい肉はちょっと」という人にもよさそうです。
肉と野菜を、たっぷり食べられ、準備も後片づけも簡単な「鍋もの」もいいですね。
こまめにたんぱく質をとるために、できることから始めましょう!
【朝食】
定番のたんぱく質おかずをつくろう
和食派なら、「ご飯に納豆をかける」「みそ汁に卵を落とす」「冷ややっこを添える」など。洋食派なら、「チーズトーストやハムトーストにする」「ゆで卵、ヨーグルト、プロセスチーズを添える」などでOK。
【昼食】
ラクチンな缶詰でたんぱく質を補給
ツナ缶、さばの水煮やみそ煮缶、いわしのかば焼き缶、やきとり缶などは、そのまま食べても、ちょっと手を加えて簡単おかずにしてもいい、たんぱく質源。麺類だけですませがちなときなどにプラスすると◎。
【間食】
乳製品を味方につけよう
ホットミルク、豆乳、ヨーグルト、チーズなどから、5g前後のたんぱく質をとることができます。バニラアイス、チーズケーキ、プリンなども◎。食欲がなかったり、食事で十分な量を食べられなかったときに。
【夕食】
テイクアウトも活用しよう
コロナウイルスによる自粛生活で、利用者がさらに増えたテイクアウト。デパ地下、スーパー、コンビニなどの総菜は種類が豊富で、緊急事態のときだけでなく、忙しいときやつくるのがめんどうなときにも便利。
【毎食】
主食を欠かさず食べよう
ご飯やパンは糖質のかたまりのように思われがちですが、実は、たんぱく質もとれる食品。目標のたんぱく質量にあと5g足りないというときは、主食でとると意外に簡単。スパゲッティやうどんなどの麺類も◎。
イラスト/中村知史
要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説