暑い日が続き、薄着が増えてくるとついつい気になる「ぽっこりおなか」。そのまま放置しておくと、脳卒中や脳血管性認知症などのリスクも高まります。そこで今回は、理学療法士 ヨガインストラクター中村尚人(なかむら・なおと)さんに、「そるだけ体操」効果をお聞きしました。
【前回】「ぽっこりおなか」を改善しよう! あえるだけで完成する「ネバネバいも」レシピ
伸ばす力を利用して気持ち良く腹筋をつける
姿勢を保つ、遠くに手を伸ばす、便をするなど、腹筋は日常生活のあらゆる場面に必要です。
「実は腹筋は、縮める力に比べて、伸びる力の方がはるかに強いものです。体をそらすことで、おなか周りのさまざまな筋肉を刺激して腹筋を強化できます」と中村尚人さん。
「そるだけ体操」の効果は、従来の腹筋運動の3倍。
気持ち良い強さが効果的。
そりにくい人は、ほぐし体操を最初に行いましょう。
おなか周りの筋肉をまとめて刺激します
すると?
おなか周りがスッキリ
おなかがぽっこりと出るのは、姿勢を維持する筋力をあまり使わず生活してきた結果。ですから、本来の使い方で体を動かすことがぽっこり解消のポイントだと中村さん。「腹筋は伸ばす力の方が強いので、上体を後ろにそらせて、体が倒れないように腹筋をギューッと伸ばしてこらえます。このとき、おなか周りのあらゆる筋肉に負荷がかかることで腹筋が鍛えら
れます」。体を気持ち良く引き上げるつもりで行いましょう。
筋力がつき代謝もアップ
そる体操を行うと腹筋はつきますが、おなか全体が柔らかく伸びて自然と体がリラックス。血流が良くなり、代謝もアップします。「姿勢は自律神経の切り替えにも役立ちます。おなかの力が抜けて丸まった姿勢のときは副交感神経が優位に。胸が開き、おなかも伸びた姿勢のときは交感神経が優位になります」(中村さん)起床後にそる体操を行えば、体がすっきり目覚めて、代謝のスイッチもオンになります。
立ち姿が美しくなる
腹筋は伸びる力の方が強いですが、背筋は縮める力の方が強いと中村さん。「体をそらせるときは背中の筋肉も使います。おなかと背中を同時に鍛えることができ、姿勢まで良くなります」そる体操をするとき、実はつらさはありません。「そって腹筋を鍛えることは、体本来の動きに合っているため、ほとんど意思の力を必要としません。つまり、脳が疲れないのです」。つらさゼロだからこそ、誰でも続けられます。
呼吸が深くなり活動しやすく
そる体操を続けると、呼吸が深まると中村さん。「そる体操で息をしっかり吐き切ると、自然と息をたっぷり吸い込めるように。さらに、肋骨を持ち上げて胸を広げ、横隔膜がラクに動くようになれば、呼吸機能は大きく改善します」。特に、階段や坂道を上ると息が切れるという人は、呼吸が浅くなっています。呼吸が深くなったら、ぽっこりおなかが引き上がり、横隔膜がしっかり動くようになったサイン。息切れもなくなります。
《いつもの腹筋より効くって本当?》
仰向けで上体を起こす腹筋は、おなかを縮めて筋肉に厚みを持たせる運動で、ぽっこりお
なかの解消にはなりません。しかも、腰は丸まり、猫背や巻き肩を招きがちに。「そるだ
け体操」なら、ラクにスッキリしたおなかになれます。
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) 撮影/西山輝彦 体操モデル/中野めぐみ(Studio TAKT EIGHTピラティスインストラクター)