高血圧診療のプロが続けている「血圧を下げる方法」。手軽に取り入れられる食事や運動とは

命に関わるさまざまな病気を引き起こす高血圧。国内に4300万人はいると推計される一方、対策が続かなかったり放置したりしている人は3100万人。そこで10人の名医が本気ですすめる、最新の高血圧を治す方法をご紹介。今回は東京女子医科大学高血圧・内分泌内科 教授の市原淳弘(いちはら・あつひろ)先生が実践している「血圧を下げる方法」を教えてもらいました。

【前回】口呼吸は血圧が上がりやすくなる? 「鼻呼吸体操」で舌の力を強くして鼻呼吸を身につけよう

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年間7500人もの高血圧患者を診察
市原淳弘先生

「どんな形であれ継続することが大切」

実は高血圧でした

15年前の血圧は150/100mmHg、体重は80kg弱、働き盛りで睡眠は3~4時間。食事は昼夜2食で、10分ほどでかき込んでいました。よく食べていたのはカップラーメン。母が高血圧なので遺伝的体質に加え、このような生活が原因でした。いまは次のような生活習慣を実践し、安定しています。

[食事]
インスタント食品やラーメンは食べません

インスタント食品やラーメンが大好きなのですが、塩分が多く、汁も残さず飲んでしまいがち。食べないように気を付けています。意識して摂るのは、ほうれん草など、尿による塩分排泄を促すカリウムを多く含み、低カロリーの緑黄色野菜です。飲み物ではお茶。血管の老化を促す活性酸素をカテキンの作用で除去してくれます。

[運動]
全身に酸素が巡る有酸素運動を日課に

毎日少なくとも7000歩は歩くようにしています。さらに週2回は1時間以上のジョギング、またはウォーキング。全身に酸素たっぷりの血液が駆け巡ることを脳でイメージしながら行っています。

[予防のポイント]
ストレスなく自然に続けられるように

減塩や運動は苦痛を伴いますが、義務感を捨てて楽天的に取り組みましょう。塩を含む食品を食べてしまったら、塩出し効果のあるカリウムなどを含む食品を摂る、などです。また、一日一回はストレスを感じない時間を。ストレスは、体内に塩分をため、血圧を上げるホルモンの上昇を招きます。

《私も実践しています》

正座するだけで血圧を1分リセット

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正座は、弱った血管を鍛え直す、すごい降圧運動です。座ったときの脚の動脈の圧迫と、脚を伸ばしたときの血流の開放により血管が刺激され、「NO(※)」を産出。高血圧を予防します。正座の姿勢で1分間静止→ゆっくり立ち上がってその場で30秒足踏み→再び1分間正座。これが1セットで、3セットを目安に。自宅で簡単にできますよ。

※血管内の「血管内皮細胞」から分泌される一酸化窒素。硬くなった血管を拡張して柔軟にし、血圧を下げる機能を持つ。

取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/鈴木衣津子

 

<教えてくれた人>
東京女子医科大学高血圧・内分泌内科 教授

市原淳弘(いちはら・あつひろ)先生

専門は内分泌学全般と高血圧診療。特にホルモン異常による高血圧、周産期・閉経期以降の女性の高血圧など。著書、テレビ出演も多数。『薬に頼らず7日で血管を変えて血圧は下げられる』(KADOKAWA)など。

この記事は『毎日が発見』2022年2月号に掲載の情報です。
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