命に関わるさまざまな病気を引き起こす高血圧。国内に4300万人はいると推計される一方、対策が続かなかったり放置したりしている人は3100万人。そこで10人の名医が本気ですすめる、最新の高血圧を治す方法をご紹介。今回はみらいクリニック 院長の今井一彰(いまい・かずあき)先生に、口呼吸から鼻呼吸に変える「鼻呼吸体操」を教えてもらいました。
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口呼吸になっていませんか?
〈口を閉じたとき舌先はどこに当たっていますか?〉
□ (1)上あご
□ (2)上の前歯の内側の歯ぐき
□ (3)上下の歯と歯の間
□ (4)下の前歯の内側の歯ぐき
(1)の人は鼻呼吸ができていますが、(2)〜(4)の人は口呼吸です
どうして鼻呼吸がいいの?
自律神経を整え血圧上昇を防ぐ
口呼吸をしていると、自律神経のバランスが乱れて血圧が上がりやすくなります。鼻呼吸になると、休息時に働く副交感神経が優位になり、血圧の上昇が抑えられます。
さまざまな病気を防いでくれる
鼻呼吸では、細菌やウイルスなどを鼻毛や鼻の粘液などでつかまえて排出。さらに鼻の奥にあるリンパ組織が、原因物質などが肺に入らないように守り、病気を防ぎます。
NO(一酸化窒素)が数十倍出る
鼻呼吸では、血管拡張作用、気管支拡張作用のあるNO(一酸化窒素)が口呼吸と比べて数十倍出ます。その結果、血液と酸素を全身へ行き渡らせることができます。
舌の力を強くして鼻呼吸を身につける
「口呼吸による口の乾燥は、歯周病などを悪化させ、動脈硬化、ひいては高血圧につながります。唾液で口が潤った状態を保つためには口を閉じる、すなわち鼻呼吸が重要です」と、今井一彰先生。
口を閉じるには、舌の力をつけることが必要。今井先生がすすめるのは「あいうべ体操」。
「睡眠中の口呼吸は睡眠の質を低下させ、血圧を上げる要因に。舌の力がつけば睡眠が改善し、血圧も下がります。表情筋のストレッチもでき、唾液の分泌を促したり、気分をスッキリさせる効果もあります」
起床時、食後、入浴時など時間を決めて行うといいでしょう。
鼻呼吸になるあいうべ体操
ポイント
・大げさなくらい口を大きく動かす。
・1回を1秒程度かけてゆっくり行う
1~4で1回。1日30回行う
1.「あー」と、口を大きく開く。
2.「いー」と、口を大きく横に広げる。
3.「うー」と、口を前に突き出す。4.「べー」と、舌を突き出して下に伸ばす。
寝ているときの口呼吸防止にはマウステープ
睡眠障害を改善し、高血圧に対処するにはマウステープを。
いびきをかくのは舌の力が衰えている証拠。
マウステープで口を閉じれば、いびきは軽減し、無呼吸の回数が減って酸素の取り込みがよくなります。
副交感神経も十分優位になり、血圧低下につながります。
用意するもの
サージカルテープや絆創膏など、幅12mm前後の医療用のテープ。
テープを長さ5cmほどに切り、唇の中央に縦に貼って、そのまま寝ます。
強く貼る必要はありません。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/鈴木衣津子