認知症や脳梗塞、動脈硬化などさまざまな病気の引き金になる歯周病や、筋力の低下などのリスクを高めるオーラルフレイル。口の健康を保つことは、老化の予防につながります。そこで今回は、幸町歯科 口腔外科医院 院長の宮本日出(みやもと・ひずる)先生に「口の健康を保つための新習慣」について伺いました。
【前回】口の健康を保ち、老化の予防! 夜のリラックスタイムには「唾液腺マッサージ」で唾液量をアップ
【最初から読む】口の老化は「認知症」や「脳梗塞」のはじまり! 「歯周病」と「オーラルフレイル」セルフチェック
歯間ブラシは正しいサイズを選ぶ
歯磨き後、フロスで歯と歯の間を清掃したら、歯間ブラシで歯と歯の間の歯ぐきの近くをケアします。
歯間ブラシは、歯の隙間にちょうどよいものよりワンサイズ小さめが正解。
意外に毛先が硬く、ちょうどよい大きさだと歯ぐきが下がる原因になります。
歯間ブラシは洗口液につける
歯間ブラシは、1カ所の隙間を掃除したら、その度に水で洗うのが基本ですが、裏技をプラスすることで効果がアップ。
「水洗後、歯間ブラシを洗口液につけてから歯間掃除をすると、歯間ブラシがもつ清掃力に加えて、洗口液の薬効も期待できます」(宮本先生)
仕上げの洗口液後はすすがない
歯周病対策には、仕上げにIPMP(イソプロピルメチルフェノール)配合の洗口液を。
洗口液後は水ですすぐと、せっかくの薬用成分を洗い流してしまうので、そのまま終了。
ただし、洗口液は種類によって使い方が異なるので商品をよく確認してください。
舌の筋力をつける
ベロの中身は筋肉です。通常は、食べたり、しゃべったりすることで鍛えられますが、自然と衰えていきます。
舌を大きく伸ばすストレッチには、口呼吸の改善や口周りのたるみ改善などの効果が!
ポイントは舌を思い切り伸ばすこと。1日何度でも行いましょう。
舌をストレッチしましょう
(1)舌を限界まで思い切り、下に伸ばす。3回。
(2)鼻に向かって舌を思い切り伸ばす。3回。
頼れる歯科医を見つける
口の健康にはプロによるメンテナンスも重要。
「歯周病菌は菌膜の中に潜んでおり、歯ブラシでは除去できません。予防には定期的に歯科医院に通い、菌膜をはぎ取るバイオフィルム(※)治療を受けてください」と、宮本先生。
かかりつけ歯科医機能強化型診療所認定医院を利用するのもいいでしょう。
※バイオフィルムとは、歯垢が口腔内に長時間とどまり、膜のようになったもので、歯科医院のクリーニングで取り除くことができます。かかりつけの歯科医師に相談しましょう。
《かかりつけ歯科医機能強化型診療所って?》
厚生労働省から認定された予防型歯科医院のこと。厳しい設置基準に合格し、感染予防に優れ、設備・スタッフが充実した歯科医院のみが該当します。インターネットで、お住まいの市町村と「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」と入れると探しやすいです。
いまの歯科治療は昔と違う!
口のお悩みQ&A
Q.いま受けるべき、口の検査は?
A.唾液検査では、虫歯と歯周病の両方のリスクが分かるので、自分に合った治療選びに役立ちます。1度の検査で十分です
●唾液検査の費用:1,000円程度~
(保険診療外のためクリニックにより異なる)
Q.オーラルフレイルって治療できますか?
A.口の機能をチェックした上で、口腔機能低下症に該当すれば健康保険で治療ができます。主に口の機能を鍛えることが目的です。気になったら歯科で相談してください
Q.入れ歯とインプラント、どちらがよいでしょう?
A.食べる機能で考えればインプラントですが、適切なケアが必要です。特に70歳以上の方の場合は、慎重に検討を。インプラントには、ねじ式のスクリュー固定と一体型のセメント固定があります。手入れを考えるとねじ式のスクリュー固定の方が安心です
(セメント固定式)
(スクリュー固定式)
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/かざまりさ