認知症や脳梗塞、動脈硬化などさまざまな病気の引き金になる歯周病や、筋力の低下などのリスクを高めるオーラルフレイル。口の健康を保つことは、老化の予防につながります。そこで今回は、幸町歯科 口腔外科医院 院長の宮本日出(みやもと・ひずる)先生に「口の健康を保つための新習慣」について伺いました。
【前回】歯ブラシは朝晩で使い分け、持ち方と当て方にも工夫を! 「歯ブラシ」の新習慣と「ぶくぶくうがい」
【最初から読む】口の老化は「認知症」や「脳梗塞」のはじまり! 「歯周病」と「オーラルフレイル」セルフチェック
[歯ブラシの新習慣]
食事はゆっくりと姿勢よく嚙む
食事をしているとき、背中が丸まっていませんか?
「猫背で食事をすると、誤嚥を招きやすくなります」と、宮本先生。
食事をするときは、骨盤をしっかり立てて、姿勢よく食べることが大切です。
「食事中にむせる人は、無意識のはずです。姿勢を正して、食べ物をよく噛んでから意識して飲み込んでください。意識して飲み込むまでの時間を長くすることで、むせることや誤嚥を防げます」
よく嚙んで意識して飲み込みましょう。
飲み込むまでの時間は長めに。
正しい姿勢で唇を閉じ、嚙んでから飲み込むと、舌が上顎に密着して食べ物をしっかりと喉に送り届けます。
【NG】
背中を丸めて食べると、嚙む力が弱くなり誤嚥しやすくなります。
毎晩の「唾液腺マッサージ」を
夜のリラックスタイムには、唾液腺のマッサージを。
唾液には、「口の清潔を保つ」「食べ物を飲み込みやすくする」など、さまざまな働きがありますが、加齢とともに出にくくなります。
口の中には、耳下腺、顎下腺、舌下腺と呼ばれる唾液の出やすいポイントがあり、これらを刺激することで唾液の分泌を促すことができます。
食事中にむせやすい人や噛みにくい人は、食前に行うのも効果的。
唾液を増やすには、上の「耳下腺」「舌下腺」「顎下腺」の3つの部位を刺激しましょう。
マッサージをするときは
・力を入れ過ぎず、気持ちよい強さで行う。
・各部位5~10回を目安にリラックスして行う。
【顎下腺】
耳の下からあご先まで、あごの内側の柔らかい部分を優しく指先で押す。
【耳下腺】
左右の耳の付け根辺りを親指以外の4本の指でグルグル回すようにマッサージ。
【舌下腺】
両手の親指をそろえ、あごの真下から舌を突き上げるようにゆっくり押し上げる。
《唾液の働きって?》
・口の清潔を保つ
・口の健康を保つ
・消化を助ける
・味を感じやすくする
・食べ物を飲み込みやすくする
・全身の健康を保つ
【次回】正しいサイズや使用方法は? 「歯間ブラシ」と「洗口液」の新習慣と「口のお悩み」質問コーナー
取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/かざまりさ