加齢のせいだと思われがちだった手指の病気。いまでは長引く痛みがある部位に通常とは異なる病的な血管が増えていることが分かっています。手指のしびれやこわばり、痛みなどを経験したことがある人は必見! 今回は、オクノクリニック総院長 奥野祐次先生に「手指の痛みを引き起こすモヤモヤ血管」について伺いました。
【前回】手指の痛みは病的な血管のせい? 血流を整えて痛みを改善する「テーピング」の方法と生活習慣の見直し
原因は、増え過ぎた血管?
手の血管画像を比べてみたら...
下の写真は、手に痛みがある人とない人の血管撮影画像(造影剤というレントゲンに写る液体を血管内に流して撮影したもの)で、黒い線が血管です。
手に痛みのある人の画像では、よく見るとモヤモヤッとしたいびつな血管が増えている部位があります。
長引く痛みのある部位には、モヤモヤ血管ができています
手に痛みのある人の血管
痛みのある部位に異常な血管(矢印)が増えています。
手に痛みのない人の血管
異常な血管は見られません。
手指のこんな症状はモヤモヤ血管のせいかも!
確認してみましょう
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痛みのある場所を指で押すと痛みが発生する。またはもともとの痛みが強くなったら、モヤモヤ血管があります。
痛みの原因を知ることで有効な治療法を見つける
手指のトラブルを抱える人は、男女とも加齢で増加します。
しかし、「強い痛みが出るのは、圧倒的に女性に多い」と奥野先生。
では、同じように指が変形しても痛む人と痛まない人がいるのはどうしてなのでしょう?
「手指の痛みを訴える人のレントゲン画像(上記)を見ると、モヤモヤとしたいびつな血管が増えていることが分かります。モヤモヤッとした見た目から、"モヤモヤ血管"と呼んでいます。これは、異常化した毛細血管で、通常、炎症が起こるときに出てくるもの。痛みや腫れを引き起こす原因となることが分かっています」
モヤモヤ血管は、加齢や猫背などの悪い姿勢の他、女性の場合は更年期を機に生じやすくなるといいます。
「女性ホルモンは、血管が正常に働くためのメンテナンスをしているのですが、閉経前後になって女性ホルモンが急激に減少することで、その能力が一気に低下します。そのため、異常な血管ができやすくなるのです」
モヤモヤ血管が原因の手指の不調は、血管にアプローチする最新の治療法(自費診療、下記参照)で改善できます。
ただし、原因が違うこともあるため、まずは病院で相談を。
特に手根管症候群の場合、初期から中期は血管へのアプローチが有効な場合も多いですが、重症化すると手術が必要なことも。
長引く手指の痛みにお悩みの方は、新しい治療法を知り、選択肢の一つに加えてはいかがでしょう。