突然起こるまぶたの赤み・腫れ・痛みの総称が「ものもらい」。
若い頃の「ものもらい」は自然に治ることがありますが、中高年世代は「がん」が疑われる場合もあり、早めの受信が大切なのだとか。
そこで、横浜相鉄ビル眼科医院 院長の大高 功(おおたか・いさお)先生に、「ものもらい」の症状や治療法について教えていただきました。
私たち世代の「ものもらい」は要注意。早めに受診しましょう!
[ものもらいの種類]
・細菌感染で膿が溜まる「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」
・脂と肉芽が溜まる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」
・膿と脂と肉芽が溜まる「化膿性霰粒腫」
[主な治療法]
・抗生剤や抗炎症剤の点眼と軟膏による薬物療法
・切開して内容物を摘出する手術療法
「ものもらい」はある日突然起こるまぶたの赤み・腫れ・痛みの総称で、地域によっては「めばちこ」、「めいぼ」などともいわれています。
特に原因はありません。
まぶたの一部が赤く腫れ、まばたきをしたり指で押したりすると痛みを伴うことがあります。
コリコリとした塊に触れる場合もあります。
まぶたに溜まる主なものは膿、脂、肉芽の3種類です。
細菌に感染して膿が溜まる「麦粒腫」、マイボーム腺の出口が詰まって脂が溜まり、その周りにニキビのような肉芽が一緒にできる「霰粒腫」、脂が溜まると同時に感染を起こして膿も一緒に溜まる「化膿性霰粒腫」があります。
「化膿性霰粒腫」は通常の霰粒腫よりも腫れがひどく、赤みが強く痛みが強いのが特徴です。
まぶたに溜まるものはどれも白い色で、見た目だけで厳密に判別することは困難です。
化膿性霰粒腫として治療を進めることが現実的です。
若い頃の「ものもらい」は放置しても自然に治ることがありましたが、私たち世代では「がん」が疑われる場合もあります。
特に、触るとコリコリした塊がある、塊が徐々に大きくなる、痛みがない、切開して摘出した後も再発を繰り返すなどの症状がある場合は、がんとの識別が必要です。
私たち世代の「ものもらい」は放置せず、早めに受診することが大切です。
《マイボーム腺はどこにある?》
瞼板の中には目の表面に脂を出すマイボーム腺とよばれる分泌腺がある。霰粒腫はマイボーム腺が詰まって、行き場を失った脂が溜まる。
まぶたの腫れは、溜まった脂が周りの組織を押し広げて炎症が起こり、脂の周りに肉芽という肉の塊ができた状態。
抗生物質の点眼が基本視力や眼圧の検査も
治療ではまず抗生物質の目薬や軟膏による薬物療法で様子を見ます。
炎症によって腫れている場合は、抗炎症剤(ステロイド、非ステロイドがある)の目薬を処方することもあります。
ステロイドは副作用でゆっくり眼圧が上がってくる場合があります。
「ものもらい」の治療で、視力や眼圧の検査もするのはそのためです。
点眼中は医師の指示通りに定期検診を受けるようにしてください。
薬物療法が効かない場合は、手術療法があります。
局部麻酔をして、患部を表(皮膚側)、ないしは裏(目側)から切開し、脂や肉芽を取り除きます。
15分程度の手術で、術後は赤みや腫れが約1週間続きます。
手術に抵抗がある場合は、ステロイドを患部に注射する方法を採用している病院もあります。
「ケナコルト」という弱くて長く効く薬剤を使います。
細菌性眼瞼炎の人は、ものもらいが発症しやすいので、細菌性眼瞼炎の治療をすることが先決です。
下記を参考にしてみてください。
《細菌性眼瞼炎の人はなりやすい!》
細菌性眼瞼炎(慢性的に目の縁が感染している)の人は、ものもらいを併発しやすい。
以下のような細菌性眼瞼炎の治療や対策が、ものもらいの予防にもなる。
①抗生剤を飲む
②市販のベビーシャンプーやアイシャンプーなどで目の縁を洗う(綿棒を使うとよい)
※汚れた手指・タオルなどで目に触れない、アイメイク後は丁寧にしっかり落とすなど、最低限の目の清潔を心がけましょう。
《こんな症状があったら要注意!》
[症状]
・ コリコリする
・ 徐々に大きくなる
・ 痛みがない
・ 切開して摘出した後も再発を繰り返す
[がんの恐れ]
①眼科を受診し、手術して病理検査
②がんの場合は、希少がんの専門病院で治療
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取材・文/古谷玲子(デコ) イラスト/片岡圭子