ひざが痛くて歩きづらい、痛くなりそうだから外出したくない――年齢を重ねて感じるそんなひざの悩み。理学療法士の土屋元明さんは「ひざの痛みの多くは、ひざ関節や軟骨の変形ではなく、ひざから足首までのねじれが原因になっている可能性がある。痛みをセルフケアすることはできる」といいます。そこで、土屋さんの著書『ひざのねじれをとれば、ひざ痛は治る 1日5分から始める超簡単ひざトレーニング』(方丈社)から、ひざ痛の原因や自宅で簡単にできるセルフケア方法をご紹介。実践して、自分で元気に歩く力を手に入れませんか?
ひざ痛と意外な関係ピックUP
肥満・生活習慣病との関係
肥満とひざ痛の関係はよく知られるところです。
体重が重ければ重いほどひざに負担がかかるのは明白で、ひざ痛で受診すると「痩せましょう」といわれる人も多いです。
ただし、もうすこし詳しくいえば、単純に"重い"が原因ということではありません。
腹部に脂肪がつく太り方は主に骨盤の内側に脂肪がつくため、腹が出て、出っ尻ぎみとなり、股関節や太腿骨が内向きにねじれる原因になったり、ねじれを増悪させる要因になったりするため、ひざ痛と関係します。
また、「サルコペニア肥満」と呼ばれる太り方は見かけ上は太っていなくても筋肉が少ない(内臓脂肪が多い)ので、筋力が弱いことでひざへの負担が大きくなります。
さらに、肥満は高血圧や糖尿病など生活習慣病とも関係が大きい。
血圧が高くなっている状態は、自律神経のうちの交感神経が優位になっている状態なので、全身の筋肉がこわばっている傾向にあります。
筋肉の7割は足に集中しているのですが、とくに太もも裏のハムストリングスという筋肉が強くこわばり、ひざの伸びを妨げ、ねじれに影響し、ひざへの負担を増やします。
また糖尿病は病気の分類では「代謝疾患」の代表的な病気で、代謝の異常と血管の損傷がさまざまな合併症をひき起こします。
そのような状態では体のどこでも炎症が起きやすく、重症化しやすいといえ、ひざに痛みがある人では関節に水がたまりやすく、症状が悪化しやすくなります。
そして直接的な因果関係はなくても、高血圧の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は高血圧になりやすい、負の相関が指摘されています。
メタボ(内臓脂肪型肥満+高血圧・高血糖・高脂血症のうち2つ)のリスクは、つまりひざの痛みとも無縁ではないということ。
食事の偏り予防、減塩、血糖値スパイク予防など、生活習慣病の予防に気をつけることは、ひざ痛を改善するためにも大切なのです。
もしかしたら体から危険を知らせるサインが"ひざ痛"として出ているのかもしれない、と考えることもできます。
ひざ痛のケアやウォーキング、深い呼吸、柔軟性アップが生活習慣病予防につながります。
すべてが今後の人生にかかわる、といっても大げさではないですね。
健康づくりの第1歩は?
とはいえ健康づくりは何からはじめたらいいか迷うところかもしれません。
私が施術院でおすすめしているのはひざのセルフケアと、1日4回(起床直後、朝食直後、夕食直後、就寝直前)、体重を測ることです。
4回測ってグラフにつけ、線をつないだとき図のような「台形」に見えるのが理想的です。
1日のエネルギー補給などと消費(活動量)などのバランスがよいことが現れて台形になります。
ダイエットをする人は、就寝直前と翌朝の起床直後の体重が前日の朝食直後と夕食直後よりすこし減っているとベターです。
寝る前にすこし体重が減っていて、起きたらさらに減っていて......それが続くと痩せやすいでしょう。
体のケアはどんなことも自分のいまの体(状態)と向きあうことからはじめるのが継続のこつです。
台形をイメージできるようになると意識が変わるので、その後はどんな方法でも自分がいいと思い、むりなく続けられると思う健康法を何か選んで、続けることがよい変化をもたらすでしょう。
私自身は体内時計にあわせた食生活をしています。
朝食はとらず、正午から夜8時の間に2回食事をとり(吸収の時間)、夜8時から明け方4時までを「消化の時間」として体を休め(この間に睡眠約6時間)、明け方4時から正午までは「排泄の時間」と考えて行動します。
私にとってはコンディション維持に最適な方法のようなので、これまで3年、続けてきました。
みなさんもぜひ、自分に適した方法と出会ってください!
【最初から読む】ひざが痛い・・・その原因は「足がねじれてる」からかも? ひざ痛をまねく2タイプの「足のねじれ」
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ひざ痛の原因やその見立て、トレーニング方法などが全5章で紹介されています