ひざが痛くて歩きづらい、痛くなりそうだから外出したくない――年齢を重ねて感じるそんなひざの悩み。理学療法士の土屋元明さんは「ひざの痛みの多くは、ひざ関節や軟骨の変形ではなく、ひざから足首までのねじれが原因になっている可能性がある。痛みをセルフケアすることはできる」といいます。そこで、土屋さんの著書『ひざのねじれをとれば、ひざ痛は治る 1日5分から始める超簡単ひざトレーニング』(方丈社)から、ひざ痛の原因や自宅で簡単にできるセルフケア方法をご紹介。実践して、自分で元気に歩く力を手に入れませんか?
ねじれを見立てる●2タイプのねじれひざ
足のねじれ方は詳細に見れば十人十色なのですが、大別すると「上ねじれ」か「下ねじれ」に分かれます。
ひざ痛のセルフケアのために見立てるなら、「上ねじれ」か「下ねじれ」か判断するので十分です。
「上ねじれ」と「下ねじれ」はどちらも「ひざから足首まで(下腿)」が外向きにねじれることで、ひざ痛をまねきます。
そして、年齢ひざの発症・悪化のメカニズムとも次のように関係します。
・ねじれは体の使い方に偏りを生じさせ、関節の変形を助長する要因のひとつになる
・関節の変形が体の使い方をさらに制限し、ねじれを増悪させることにもなる
さらに「上ねじれ」と「下ねじれ」はともに全身の柔軟性や姿勢にも影響し、体のすべての筋肉の7割にあたる足の筋肉の力を発揮しづらくさせ、運動などのパフォーマンスを低下させます。
つまり、まだ痛みが出ていないねじれでも活動の妨げになるので、ねじれは年齢・性別にかかわらず誰もが健康づくり&楽しいライフのためにすこし気にかけて、セルフケアを行うポイントなのです。
余談ですが、昨今、私の施術院では中学生や高校生のねじれや柔軟性、へんぺい足のケアをすることが増えてきました。
子どもたちのライフスタイルの変化と、幼児期・学童期の外遊びが減っていることなどが影響していると考えられますが、足が十分に育たないまま運動系の部活動で激しいスポーツをするようになり、痛みなどのトラブルにつながり、その根本的なケアのためにねじれ補正などを行う場合が少なくないのです。
ですからもし、お子さんやお孫さんが部活動でたびたびけがをしたり、足のどこかの慢性的な痛みを訴えたり、パフォーマンスの質に悩んでいたりしたら、ぜひチェック&ケアする点を確認してあげてください。
ねじれやこわばり、へんぺい足などがあったら、ご一緒にセルフケアを(けがをしている場合は、治ってから)。
子どもたちはセルフケアの効果が出るのが早く、効果を自覚する感覚が大人以上に敏感なので、きっと喜ばれます。
ねじれひざをチェック「上ねじれ」とは?
股関節や太腿骨が内側にねじれている(ひざのお皿は内に向く)ので、バランスをとろうとして「ひざから足首まで(下腿)」が外向きにねじれるタイプです。
お皿が内に向くことで生じるO脚ですが、「下ねじれ」の場合のO脚とはタイプが異なります。
比較的若い人、とくに筋力や体幹の柔軟性が低い人に多く、特徴として「うちまた」「低緊張(姿勢保持にあまり筋肉を使っていない)」「足の内側にもたれるように立つ」「へんぺい足」などがあげられます。
また、ねじれが両足に見られ、左右差がないため両ひざに痛みが生じることもあります。
歩くときは「ペタペタ」歩きます。
歩みを進めるときにお皿が内にねじれ、力が入らないので、ペタペタ歩くように見えるのです。
なお、加齢にともない自然とひざのお皿は外を向くように変化するので、若い頃は「上ねじれ」の人も、徐々に「下ねじれ」に変わっていきます。
ねじれひざをチェック「下ねじれ」とは?
「ひざから足首まで(下腿)」が外向きにねじれるタイプです。
そもそも姿勢が丸くなることに比例して、ひざが曲がり、伸びにくくなるため、ひざのお皿が外を向きます。
そして、下ねじれが強まるとつま先が外を向き、足のアーチがつぶれてきます。
比較的年配の人に多く、年齢ひざの特徴的ねじれ方といえ、特徴として「がにまた」「へんぺい足(かかとが内側に倒れている)」「姿勢の悪化(円背、腰が曲がる)」「足の外側の筋肉などの張力に依存して立つ」があげられます。
ほとんどの場合、はじめはねじれが片方の足から強まり、左右差が生じます。
ねじれているほうの足のひざが痛いと訴え、同時にひざが伸びにくくなります。
両足とも痛い人は少数ですが、痛みを放置したまま生活を続けていると、痛いほうの足をかばってもう一方の足に負担がかかり、両方とも痛くなることがあります。
歩くときは「ひよこひょこ」、メトロノームのように左右に揺れて歩きます。
歩幅が狭く、すこしでも歩幅を広げようとして歩くと左右の揺れが大きくなります。
O脚ですが、「上ねじれ」の場合のO脚とはタイプが異なります。
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ひざ痛の原因やその見立て、トレーニング方法などが全5章で紹介されています