冬に入り、寒さから体調を崩したりして、どうしても胃腸が弱りがちになりやすいです。そんなときは日本流の薬膳ごはんを取り入れてはいかがでしょうか? 薬膳料理の大家・追立久夫さんのアイデアをもとに日常的な料理に落とし込んでいるのが、人気レストラン「然の膳」。その「然の膳」の著書『大人気レストラン「然の膳」の世界一美味しいカンタン薬膳ごはん』より、薬膳の基本から、中国と日本の薬膳料理の違い、かける薬膳の考え方や作り方など家庭でも気軽に実践できる「薬膳ごはん」情報をご紹介します。
食材を一品替えるだけ。
入れ替え薬膳ごはん
いつものメニューの食材を入れ替える。
これでも薬膳料理になります。
みなさんは、たたいたきゅうりとなにを合わせますか?
ごま油としょうがという人もいれば、ごま油とにんにくという人もいれば、ナンプラーとレモン汁でエスニック風にして食べるという人もいると思います。
そんないつもの食べ方を少しアレンジしてみる。
たとえば、たたいたきゅうりに、梅干しを潰すか、刻んで和える。
これで、夏の薬膳料理になります。
ごま油としょうがやにんにくでもおいしいメニューですが、夏が旬のきゅうりを梅と合わせることで、夏に合わせた体への効果をもつごはんになります。
梅には疲労物質を外に排出する効能があり、体の熱を冷まし、脱水を予防するきゅうりと合わせると、夏バテ予防に効果のある一品になります。
ドレッシングも、材料を入れ替えるだけで、簡単にいろいろな種類の薬膳ドレッシングに早変わり。
ドレッシングの基本は、サラダ油と酢。
たとえば、サラダ油の代わりにアマニ油やえごま油を使ったり、酢の代わりにリンゴ酢や黒酢を使ったりするだけで、簡単に薬膳ドレッシングが作れます。
この中に、にんじんや玉ねぎ、大根、キャベツなどの季節の野菜を入れたり、黒ごまやにんにくなどを入れたりすると、それぞれの食材の効能も得られるドレッシングになります。
組み合わせに悩んだら旬の食材がオススメ
いつものメニューに食材をなにか加える、いつものメニューの食材を入れ替える。
これで薬膳料理になります。
ただし、少しだけ食材の効能を知る必要があります。
といっても、トマトやレモンには抗酸化作用があるとか、緑黄色野菜は免疫力を高めるとか、ふだんから聞いたことがあるような効能です。
でも、もっと簡単に、いつものごはんを薬膳料理にする方法があります。
それは、旬の食材を大切にすること。
最近は、旬がわからなくなるほど、どの品種の野菜や果物も、季節にかかわらず手に入るようになりました。
しかし本来は、その季節に合わせた体調へ整えるために多いのが旬の食材です。
たとえば、夏に起こりやすい症状といえば、夏バテ、熱中症、食欲不振、消化不良、疲労などです。
夏の食材といわれるトマト、おくら、きゅうり、ゴーヤ、なす、トウモロコシ、枝豆、スイカなどには、夏に起こりやすい症状を改善する効能があります。
冬に起こりやすい症状といえば、風邪、冷え、むくみ、貧血、下痢、腰痛、神経痛などです。
冬の食材といわれる大根、ねぎ、ほうれん草、ブロッコリー、白菜、ミカン、ゆず、しじみなどには、冬に起こりやすい症状を改善する効能があります。
旬には理由があるのです。
今では季節に限らずいろんな野菜が手に入りますが、健康のことを考えるなら、旬の野菜を意識してみましょう。
旬の食材は栄養価が高く、出荷量も多くなるため家計にやさしく、さらに心身を整える力が強い食材でもあります。
【まとめ読み】『世界一美味しいカンタン薬膳ごはん』記事リストはこちら!
日本の薬膳ごはんをコンセプトに薬膳の基本から考え方、作り方まで全4章にわたって解説。アイデアレシピ60品付き