冬に入り、寒さから体調を崩したりして、どうしても胃腸が弱りがちになりやすいです。そんなときは日本流の薬膳ごはんを取り入れてはいかがでしょうか? 薬膳料理の大家・追立久夫さんのアイデアをもとに日常的な料理に落とし込んでいるのが、人気レストラン「然の膳」。その「然の膳」の著書『大人気レストラン「然の膳」の世界一美味しいカンタン薬膳ごはん』より、薬膳の基本から、中国と日本の薬膳料理の違い、かける薬膳の考え方や作り方など家庭でも気軽に実践できる「薬膳ごはん」情報をご紹介します。
なぜ、とんかつにキャベツ?
薬膳の基本は「組み合わせ」
薬膳と聞いて思い浮かべるのが、「体にやさしい」「健康にいい」。
その一方で、
・家庭で作るのはたいへん
・効果や作り方を調べるのが面倒
・材料をそろえるのがたいへん
・薬みたいでおいしくなさそう
というイメージがあります。
「面倒」「まずそう」「苦そう」......。だから、薬膳を毎日の献立から遠ざけている人も多いと思います。
みなさん、薬膳を難しく考えているようですね。
薬膳料理を食べると、体が温かくなったり、血行がよくなったり、疲れがとれたりするのは事実ですが、薬膳は必ずしも「生薬」といわれる漢方薬の原料が使われているわけではありません。
生薬を使わなくても、薬膳料理は作れます。
そもそも、毎日の料理に使っている野菜や穀物、肉類といった食材には、それぞれに体を健康にする効能があります。
その特性を目的に合わせて組み合わせるのが、薬膳。
薬局や専門店へ行かなくても、近くのスーパーで買ってきた食材をうまく組み合わせれば、いつでも作れるのが薬膳料理なんです。
組み合わせを考えるのが面倒と思うかもしれませんが、実はふだんの食卓で、すでに薬膳料理を食べていることもあります。
たとえば、とんかつの付け合わせに、千切りしたキャベツ。
これも、食材の効能を活かした健康ごはん。
消化を助けるキャベツだからこそ、胃もたれを起こしやすいとんかつに最適な付け合わせなのです。
効能が異なるレタスでも、白菜でもなく、キャベツだからこそ一緒に食べる意味があるのです。
みそ汁にレモン汁を数滴。足すだけ薬膳ごはん
薬膳料理を一から作ろうと身構えるから難しくなります。
みなさんも、野菜を多めに摂ろうとか、塩分を控えめにしようとか、カロリーを抑えてとか、少しでも体にいい食事にしようと考えることがあると思います。
薬膳を献立に取り入れるのも、その延長線上だと、まずは考えてください。
そもそも薬膳料理を食べたからといって、すぐに血圧が下がるとか、糖尿病が治るとか、疲れがとれるといった効果があるわけではありません。
毎日食べることで、少しずつ体質を変えていくのが薬膳。
続ければ続けるほど、血圧が安定してきたとか、血糖値が安定してきたとか、疲れにくくなったといった効果があらわれるようになります。
ですから、「薬膳だ」と頑張らずに、いつものごはんの食材の組み合わせを少し工夫する。
そこからはじめましょう。
それだけで、立派な健康ごはんになります。
その組み合わせのヒントを、これからいくつか紹介していくことにしましょう。
まずは、いつものメニューになにかを加える。
たとえば、いつものみそ汁に、絞ったレモンを数滴落としたり、薄く輪切りにして入れたり、ゆずのように、おろし金ですりおろして入れたり......。
これで、薬膳みそ汁。
たとえば、野菜サラダにマヨネーズをかけて食べるなら、マヨネーズにミカンの皮を刻んで入れたり、しょうがを刻んで入れたり......。
これで、薬膳マヨネーズ。
疲労回復に効果のあるレモンを、腸内環境を整える効果のみそ汁に加えることで、バテ気味の体を改善してくれます。
最近の研究では、レモンに含まれるクエン酸が血圧を下げる効果が期待されることもわかってきています。
また、ミカンの皮には血のめぐりの改善など、しょうがには冷え性改善などの健康効果があります。
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日本の薬膳ごはんをコンセプトに薬膳の基本から考え方、作り方まで全4章にわたって解説。アイデアレシピ60品付き