すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
不眠体質とは?
睡眠不足が続く人を、漢方では「腎」が弱っていると考えます。
そして、「腎」にダメージを与える行動を「久立(きゅうりつ)」と呼び、立ち仕事が多いことを表します。
起きている時間が長く、夜更かししがちな点も。
寝る前に音楽を聴いて睡眠の質を高め、成長ホルモンの分泌を促したり、朝起きる時間を固定して体内時計を整えたりするなど、習慣を少し変えてみてください。
食事では、「腎」に必要な亜鉛やマグネシウムなどを多く含み、カリッポリッと良い音のするナッツや豆を食べるようにしましょう。
漢方で考える
「腎」の働きは、腎臓の働きに内分泌系の働きが加わった感じだと考えていただけるとよいと思います。
「腎」は「気・血・水」のうち「水」の働きに深くかかわります。
例えば、寒いときにトイレが近くなるのは「腎陽虚(じんようきょ)」です。
腎臓には、ろ過機能により水分や血圧を調整する働き、骨を強くする働きなどがあります。
この働きに支障があることを総じて「腎虚(じんきょ)」といいます。
また、寝不足が続くと記憶力や耳鼻科系の不調を感じることがあり、これを「腎陰虚(じんいんきょ)」といいます。
「腎」が弱ると不眠体質になる!
不眠体質にお勧めの「食薬」は、生命力の強い食材に、BGMや会話など食事中の音も楽しむ料理です。
食事は、誰と一緒に食べるか、どんな会話をするか、どんなBGMがかかっているかも大切です。
特に、睡眠前である夕食時は、心地の良い時間を過ごせるように意識しましょう。
カリッと良い音のする実や種で「腎」を支えましょう。
不眠が大敵な理由
睡眠は成長ホルモンと深い関係があります。
成長ホルモンは、その名のとおり、骨などの成長はもちろん、細胞の修復も促します。
睡眠時間が減ったり、眠りが浅かったり、昼夜逆転の生活を送っていたりすると、成長ホルモンの恩恵が受けられません。
細胞の修復が遅く、疲労蓄積、新陳代謝の低下、老化の加速、傷の治りが遅くなるなど、さまざまなデメリットがあります。
また、睡眠不足は女性ホルモン・甲状腺ホルモン・ストレス時に出るホルモンなどの内分泌系全般にもダメージを与えます。
さらに、睡眠時には脳のリンパの流れが促され、脳にたまった老廃物を排泄していく時間でもあります。
睡眠不足により老廃物が蓄積すると、記憶力の低下や認知症、うつ病などにも関係したり、リンパの滞りから耳鳴りや難聴などの原因となったりすることもあります。
不眠と女性ホルモン
女性の寿命が男性よりも長いのは、女性ホルモンにより睡眠の質が良くなることが理由の1つとされています。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあり、生理後にエストロゲンの分泌が増えるときには眠りが深くなります。
そして、排卵以降に増えるプロゲステロンもまた、睡眠の質を高めます。
そのため、女性のほうが男性よりも睡眠が深くなりやすく、寿命も長くなっているといわれています。
ただし、逆もあります。
睡眠の質が悪かったり、睡眠時間が短くなったりすると、生命維持を優先するために女性ホルモンの分泌がおろそかになり、生理不順など女性ホルモンの乱れが起こることもあります。
忙しい時期でどうしても睡眠時間が削られるときには、栄養をたっぷりとって、心地よいBGMなど、さまざまな癒しをとり入れて睡眠の質を上げていきましょう。
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とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています