すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
血行不良の体質とは?
同じ姿勢でいることが多かったり、貧血気味だったりして血流が悪い状態を、漢方では「心(しん)」が弱っていると考えます。
そして、「心」にダメージを与える行動を「久視(きゅうし)」と呼び、目を酷使することを表します。
スマホ画面だけではなく、身の回りにも目を向けてみましょう。
テーブルにお花を生けたり、メイク道具をワクワクする配色で揃えたりするだけでも、「心」を整える習慣です。
食事でも、食材や食器の色彩を楽しんでみましょう。
漢方で考える
「心」の働きは、心臓の働きに赤血球の働きが加わった感じだと考えていただけるとよいと思います。
まず、心臓は血液を巡らせていますが、その力が不足している状態を「心気虚(しんききょ)」と呼びます。特に病気がない場合には、日頃の姿勢や運動不足が原因となります。
また、貧血気味で酸素と栄養が全身に運ばれにくくなり、脳が酸欠となることで、集中力の低下や不安感が起こりやすくなります。
この状態を「心血虚(しんけっきょ)」と考えます。
「心(しん)」が弱ると血行不良の体質になる!
血行不良の体質にお勧めの「食薬」は、カラフルな夏野菜や青魚で食材の色や美しさを追求した料理です。
知覚する情報の8割以上を「視覚」が占めています。
そのため、キレイと感じる食卓を作る習慣が「心」に響きます。
運動習慣も大事ですが、貧血気味のときには、食べ物を使って体の中から改善しましょう。
血行不良が大敵な理由
私たちは、重力の影響を受けています。そのため、血液も重力に引っ張られているので、体を動かさなければ滞りやすく、血液を押し流す筋力も低下します。
血流が悪くなれば、末梢にある毛細血管にまで血液が行き渡りにくくなります。
その結果として起こるのが、毛細血管の減少による「心気虚」です。
毛細血管は、体のすべての細胞に酸素や栄養素を届け、二酸化炭素や老廃物を回収するために役立ちます。
そのため、「心気虚」になると細胞の栄養不足、老廃物の停滞により、生理痛、生理不順、手の血管が浮き出る、高血圧、しわ、くすみなどを招きます。
また、体を巡る血自体が不足しているときにも血行不良は起こり、これを「心血虚」と呼びます。酸素や栄養を運ぶ機能自体が低下するので、動悸・息切れ、胸の痛み、味覚異常、微熱、不安感も起こりやすくなります。
下まぶたの裏や舌の色が白くなる「心血虚のサイン」が出ているときには、まず栄養を補給しましょう。
サインが消えてから、運動をとり入れてください。
血行不良と女性ホルモン
生理が起こるのは、まず脳が卵巣に指令を出し、それを受けて卵巣から女性ホルモンが分泌される仕組みになっています。
指令を届けるホルモンは、神経伝達物質と違い、血液に乗って脳から卵巣まで長距離を移動します。
そのため、血流が悪ければ、当然、卵巣には指令が届きづらくなります。
特に、首、胸、骨盤の周りに滞りが起こりやすくなっています。
脳にも卵巣にも問題がないのに、生理に関する不調を招くなんて嫌ですよね。
また、生理直前には、プロスタグランジンという物質が増えます。
プロスタグランジンはギューッと子宮を収縮して経血を排泄させますが、プロスタグランジンが原因で生理痛が悪化していることがあります。
血流が悪いと、プロスタグランジンが骨盤の中に停滞して、痛みを強く感じさせます。
この場合、経血にレバーのような塊が混じったり、経血の色が黒っぽくなったりする特徴があります。
そのため血行不良は、女性のトラブルを起こりやすくしてしまうのです。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』記事リストはこちら!
とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています