すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
便秘体質とは?
便秘や下痢をしやすい人を、漢方では「肺(はい)」が弱っていると考えます。
そして、「肺」にダメージを与える行動を「久臥(きゅうが)」と呼び、怠けて横になる状態を表します。
そんなときは深呼吸しながら、公園の植物や海岸の砂などに触れたり、素足で歩いてみたりすると気分転換になります。
食事では、ぬるぬる・トロトロした食感のものを取り入れましょう。
こうした食材は、腸や免疫を整える水溶性食物繊維を多く含んでいます。
漢方で考える
「肺」の働きは、肺の働きに白血球の働きが加わった感じだと考えていただけるとよいと思います。
呼吸が浅く酸素の供給が少なかったり、横隔膜の動きが悪かったりして、腸を動かす力が不足している状態を「肺気虚(はいききょ)」と呼びます。
また、白血球の一種であるリンパ球と顆粒球(かりゅうきゅう)のバランスが乱れることで、免疫力の低下を招きます。
これを「肺陰虚(はいいんきょ)」と呼びます。
免疫を司るリンパ球の6割以上が腸に集中しているため、腸内環境は「肺」を整えるうえで重要です。
「肺(はい)」が弱ると便秘体質になる!
便秘体質にお勧めの「食薬」は、調理中の感触も楽しめて、ぬるぬる・トロトロの食感が特徴の料理です。
毎日、便秘薬を飲んだり、ダイエット代わりに下剤を飲んだりして、腸をいじめていませんか?
本来の感覚をとり戻し、悪循環をリセットしましょう。
薬だけに頼るのではなく、食感も特徴的なおいしい「食薬」を頼ってくださいね。
便秘が大敵な理由
腸の中には、100兆個もの細菌が共存しているといわれています。
そして、腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり、善玉菌が過ごしやすい腸内環境であることが、私たちの健康を維持するために大切なことです。
特に水溶性の食物繊維(こんにゃく、オートミール、ワカメ等)は、善玉菌により腸内で発酵され、短鎖脂肪酸である「乳酸」「酪酸」「酢酸」などをつくり出します。
この短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性にして善玉菌が過ごしやすい環境をつくったり、腸の粘膜を強化したり、腸の運動を促したり、鉄やマグネシウムなどミネラルの吸収を促したりします。
逆に、便秘の状態で便が腐敗し、悪玉菌が過ごしやすい状態になっていると、アンモニア、インドール、硫化水素などの有害物質が発生したり、腸内にカンジダ菌というカビが生えたりすることもあります。
すると、腸壁から有害物質が体内に吸収されたり、栄養の吸収が悪くなったりすることで、肌荒れやアレルギー症状が悪化したり、精神面が落ち着かなくなったりします。
便秘と女性ホルモン
女性に多い便秘の原因の1つは、生理前に女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌が増えることです。
プロゲステロンには、体内に水分を蓄積しようとする働きがあるため、腸内の水分も体内に吸収されて便が硬くなり、腸の動きが抑制されて便秘傾向になります。
そして、生理が始まるとプロゲステロンの量が減少することで、腸の動きが活発になり、快便になる人が多いです。
しかし、便が緩くなりすぎて下痢になる人もいます。
そのほかに女性特有の便秘の原因として、外出時には我慢してしまうこと、タイミングが悪くてトイレに行けないこと、ダイエットで食事の量が減って腸の動きが悪くなること、ストレスや環境の変化によることなどがあります。
腸の状態は、免疫にも関係しますが、美容や心の安定にも直結します。
自分の腸のパターンを理解して事前に対処しましょう。
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とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています