すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
人間の体質は5つに分けられる
漢方では、「整体観念(せいたいかんねん)」という考えを柱としています。
人間は自然界の一部であるため、自然の変化にも影響されるというものです。
自然界には、不変的なものはなく、常にすべてが連動し、変化しています。
当然、人間も自然の変化に影響されて体調が変化します。
例えば、気圧が変化し、大きな雲が風によって流れ、それにより分厚い雲で太陽は陰り、雨が降り、湿度が上がり、日照時間が短くなります。
そうすると、人の汗は蒸発しづらくなり、体温調節が難しくなり、自律神経が乱れ、日光によってつくられる神経伝達物質のセロトニンや、骨を強くするビタミンDの量が減少します。
このように考えると、自然と人はそれぞれ単独で存在しているのではなく、連動して存在していることがよくわかりますよね。
また、体の不調も、独立して存在しているのではありません。
不調は必ず何かと連動していると考えます。
不調をきたしている部分だけを薬で抑えたとしても、それに連動する臓器に影響が及ぶため、他の部分に支障が生じると考えるのです。
そこで漢方では、全身のバランスを整えることを目指します。
その結果、主要な症状を治そうとすると、思ってもいなかった他の不調も連動して改善することができます。
この関連性をひもとくために、漢方では「五行説」を使います。
五行説では、人間を含め、自然界にあるすべてのものを5つに分類します。
具体的には、人間の体を「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の五臓に分類します。
五臓はそれぞれが連携して、「気・血・水」を巡らせたり、貯蔵したり、活用したりしながら健康を保っています。
そして面白いことに、臓器によって、どのような生活習慣から影響を受けやすいのかが異なります。
- ストレス→「肝」
- 血行不良→「心」
- 冷え→「脾」
- 便秘→「肺」
- 不眠→「腎」
どの臓器が強いか・弱いかは、人それぞれの傾向があります。
例えば、ストレスが多いと体調をくずす人がいます。
しかし、その人は多少冷えたくらいでは体調をくずさないかもしれません。
また、ストレスが多いと体調をくずすけれど、多少の寝不足は平気な人もいます。
逆に、冷えたり寝不足になったりするとカゼを引くけれど、ストレスには動じない人もいます。
これは、生理周期や年齢によっても変化していきます。
「20代の頃は食べすぎても平気だったのに、今はすぐに体調に出る」とか「生理前はストレスに弱くなって胃痛があるけど、普段は問題ない」といったことを感じたことはないでしょうか?
今の自分の状態を把握したうえで、五臓のバランスを整えていくことが大切です。
気・血・水を巡らせる5つの臓器
【肝】
ストレス体質(嗅覚)
・ストレス
・PMS(月経前症候群)
・解毒
・貯蔵鉄(フェリチン)の不足
・自律神経
・肝血流の低下
【心】
血行不良体質(視覚)
・貧血
・運動不足
・生理痛
・酸素や栄養の巡りが悪い
・ヘモグロビン値が低下
【脾】
冷え体質(味覚)
・冷え
・胃の不調
・内臓下垂
・体のエネルギーをつくるミトコンドリアの働きが低下
・排卵異常
・膵臓(すいぞう)の働き
【肺】
便秘体質(触覚)
・便秘・下痢
・呼吸
・免疫系の乱れ(リンパ球・顆粒球のバランス)
・肌・粘膜が弱い(アレルギー・鼻炎)
・生理前の肌荒れ
【腎】
不眠体質(聴覚)
・寝不足
・生理不順
・更年期障害
・腎臓の働き(エリスロポエチンなど)
・副腎の働き(コルチゾールなど)
・内分泌系
・脳
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とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています