すぐに疲れてしまう、おなかにガスがたまる、生理前に太りやすい...病院では原因が特定されづらい「なんとなくの不調」に悩まされていませんか? そこで、年間2000人以上の悩みに応えてきた漢方カウンセラー・大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)より、「漢方×栄養学×腸活」の考え方をもとにした「食薬」のエッセンスをご紹介。ぜひ、自分の「体の状態」に合わせて食事を選び、体調を整えてみてください。
ストレスに弱い体質とは?
ストレスの影響を受けやすい人を、漢方では「肝(かん)」が弱っていると考えます。
そして、「肝」にダメージを与える行動を「久行(きゅうぎょう)」と呼び、せっかちに動き回る状態を表します。
常に頭が働き、ぼーっとすることを忘れています。
心も体も余裕を持ってゆったりと過ごし、アロマオイルなどで嗅覚に働きかけ、神経を癒してあげることが大切です。
また、酸味のある食べ物や、柑橘系など香り高いものは、「気」の巡りを改善するので、ストレス解消に役立ちます。
漢方で考える
漢方で考える「肝」の働きは、肝臓の働きに自律神経の働きが加わった感じだと考えていただけるとよいと思います。
そして、ストレスで自律神経が乱れた状態を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。
女性の場合には、体に貯蔵している鉄(フェリチン)が不足しやすいのですが、この状態を「肝」の「血」が不足している「肝血虚(かんけっきょ)」といいます。不定愁訴の原因でもある鉄欠乏性貧血とも考えられます。
「肝」が弱るとストレスに弱い体質になる!
ストレスに弱い体質にお勧めの「食薬」は
アブラナ科の野菜や柑橘類など、
食材が持つ香りを生かした料理です。
自分が心地よく感じる香りで嗅覚を刺激すると、滞った感情が解放され、「肝」の働きが整います。
周りの様子や視線、あるいは過去や未来のことを気にするよりも、今の自分を大切にしましょう!
ストレスが大敵な理由
自律神経は、血管、肝臓、胃腸、肺、心臓など、意識して動かすことのできないものをコントロールしています。
そして、ストレスを受けると、交感神経が優位に働き、動悸・息切れ、肝血流量の低下、胃の不調、神経伝達物質であるノルアドレナリンの放出など、全身的に症状を感じます。
こうして、漢方でいう「肝気鬱結」と「肝血虚」が引き起こされるのです。
さらに、ストレスによって自律神経が乱れ、胃痛を感じたり、食欲がなくなったり、ストレスで過食・偏食をしたりすると、肝臓に蓄えられている鉄(フェリチン)の量が低下する「肝血虚」になります。
一般的に、貧血の基準値に異常が見られる前に低下するので、うつ、不眠、肩こり、めまいといった不定愁訴の原因となり、さらにストレスに弱くなります。
また、鉄を蓄える以外の肝臓の働きとして、多くの酵素との関係があり、解毒と合成を繰り返す"精密工場"のような働きがあります。
そのため、解毒と合成の材料となるタンパク質、ビタミンA・C・E、B1、B12の摂取も大切です。
ストレスと女性ホルモン
ストレスが多いときに、女性ホルモンに影響を感じた経験がある人は多いと思います。
それにはきちんと理由があります。
脳の視床下部という部分に、自律神経を調整する機能、ストレスによりホルモンを分泌する機能、女性ホルモンを調整するホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌する機能が揃っているからです。
つまり、女性ホルモンとストレスに関係する部分が共通しているのです。
そのため、大きなストレスがかかると、生理周期が長くなったり短くなったりして、安定しにくくなります。
ストレスは、メンタル的なことだけではなく、環境の変化や季節の移り変わりなど、さまざまな変化により感じるものです。
生理前後の様子がいつもと違うと感じたときには、気候の変化はないか、無理しすぎていないか、気を使いすぎていないか、自分の思っていることをため込んでいないかなどを確かめ、生理による変化を1カ月の〝成績表〟と考えて、自分と向き合ってみましょう。
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とにかくわかりやすい!「漢方×栄養学×腸活」をかけ合わせて、日々の食事を中心に、心と体を整えて不調を解消する55のメソッドが収録されています