大人がなると大変なことに...「おたふくかぜ」のワクチンとは?/いま接種すべきワクチン

新型コロナウイルスのように、感染症は思わぬところで牙をむきます。O157などの細菌やはしかなどのウイルスは、これまで多くの命を奪ってきました。けれど、かつて猛威を振るった「天然痘」は、18世紀末のワクチンの開発とその後の普及で、20世紀には世界で根絶されました。そこで、年齢を重ねた私たちが、病気を封じ込めるために接種したいワクチンについて、国立感染症研究所の多屋馨子先生にお聞きしました。

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大人がなると大変なことに...「おたふくかぜ」

大人は合併症を起こしやすい。まずは抗体保有を調べよう

耳の下から顎にかけて腫れ、痛みと発熱を伴うのがおたふくかぜの特徴です。
原因はムンプスウイルスの感染で小児がかかりやすい一方、大人でも発症します。
合併症として多いのは髄膜炎です。
脳や脊髄を覆う髄膜に炎症が起こります。

また、ムンプス難聴や、成人では女性が卵巣炎、男性は精巣炎などを伴うことも。
大人になって発症すると合併症を起こしやすいため、抗体保有を医療機関で調べて抗体価が低いときにはを活用しましょう。

[主な症状]

発熱、耳下腺や顎下腺などの腫れ、痛み

[かかりやすい年齢、性別など]

幼児。大人になってから発症すると合併症を併発しやすい

[感染経路]

飛沫やウイルスが付いた手指からの接触感染

[接種できる人]

1歳以上。かかりつけ医に相談を

[ワクチンが効いている期間]

2回接種で多くは生涯といわれています

[およその費用]

自費は5,000円前後。2回接種


そもそもワクチンとは?

感染症の予防に使用する薬のこと。

体内にワクチンで病原体の存在を知らせ、抗体などの武器を作っておくと、病原体が侵入してきても退治できます。

つまり、感染や発病、重症化を予防することができます。

ワクチンは予防の薬として欠かせない存在です。

●ワクチンは病気に対する抵抗力を与える

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病原体を弱くするか、あるいは全くなくした病原体を体内にあらかじめ入れて武器を作るのがワクチン。接種することで予防に必要な抵抗力をつけます。

感染症とは?

ウイルスや細菌などの微生物が、体内に入って感染することで発症する病気。微生物の種類によって、発熱、せき、頭痛などさまざまな症状が出ます。


取材・文/安達純子 イラスト/かたおか朋子

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多屋馨子(たや・けいこ)先生

高知医科大学卒業。大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部附属病院小児科などを経て、2001年国立感染症研究所へ。13年より現職。感染症撲滅のために尽力中。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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