3割の力でタオルを握るだけ! 血圧を下げる「ハンドグリップ」のススメ

高血圧に悩む患者さんは国内に約4300万人。血圧が高いと心臓や動脈に問題起こす危険があるため、高血圧はとても身近な問題なのです。そこで「薬に頼らず血圧を下げる方法」を、日野原記念クリニック所長で医師の久代登志男先生にお聞きしました。今回は「高血圧の治療方法」についてご紹介します。

3割の力でタオルを握るだけ! 血圧を下げる「ハンドグリップ」のススメ hisayosensei.jpg「いすに座ったままで血圧を下げるのに効果的な運動ができますよ」と語る久代先生

3割の力で握るだけ。一酸化窒素が血管をやわらかく

短時間でできて、効果が出やすく、とても簡単な運動療法があります。

「ハンドグリップ」は、座ったまま行うエクササイズ。

週3回行うだけで、2週間後、平均で10~13も血圧が下がります。

使う道具はフェイスタオルだけ。

すぐに取り組めます。

「ポイントは、〝握る〟と〝緩める〟の運動を繰り返すことにあります。どうして血圧が下がるのか...おそらく前腕の血管から血中に出る一酸化窒素(NO)が理由だと考えられています。握ったときには筋肉が縮んで血管が圧迫されて血流が減ります。緩めると、前腕の血管から一酸化窒素が分泌される。一酸化窒素には、血管を縮める筋肉を弛緩させる働きがあり、全身に流れて血圧を下げると考えられています」と久代先生。


タオルを握ると血圧が下がるわけは?

「握る」
腕の筋肉が収縮して血管が圧迫されるため、血流が低下する

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「緩める」
筋肉が緩んで血流が戻る。一酸化窒素(NO)が分泌されて血管が広がる

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「通常、関節を動かさない等尺性(とうしゃくせい)運動(アイソメトリック)は、運動中の血圧が高くなり心臓に負荷がかかるので高血圧の人には向かない運動とされていますが、タオルグリップは最大握力の30%程度の負荷ですので、大丈夫です。しかし、心臓病がある方は、主治医と相談して行ってください。

また、血圧が180/110以上の場合はやめてください。30%より強い力で握っても効果が増すことはなく、前腕が痛くなってしまいます。一日おきか週3回で効果があり、毎日行っても効果は変わりません。習慣として継続することが大切です。2週間で効果が出ますので、2週間たっても効果がなければやめてください。効果があっても中断すると2週間でまた血圧が上昇してしまいます」

高血圧の治療中の方は、始める前に主治医と相談してください。

「ハンドグリップ」のやり方

・できれば座って行いましょう

・効果が出るまでには約2週間くらいかかります。気長にトライしてください

・あくまで補助的な高血圧対策なので、ほかの治療と並行して行いましょう

・心臓病などの持病がある方は主治医と相談を

①フェイスタオルを用意する

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フェイスタオルを半分に折りたたみます。

②八つ折りにする

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さらに半分にたたみ、もう一度半分に畳んで八つ折りにします。

③クルクルときつめに巻く

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たたんだタオルを端からクルクルと巻き、筒状にします。

④握ったときに親指とほかの指がつかないくらいのタオルで

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筒状にしたタオルを握ります。親指と他の指がつかない太さであればOKです。

⑤最大握力の30%くらいの力で2分握る

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最大の力の3割くらいの力で握ります。つめが少し白くなる程度です。

⑥握った手の力を緩めて1分休む

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2分握ったら1分休むを3回繰り返します。左右とも行います。週3回行います。

⑤⇔⑥ を左右ともに3回ずつ行いましょう!週に3回程度が目安です。

取材・文/三村路子 撮影/齋藤ジン

薬に頼らず高血圧を撃退! 特集「血圧を下げる簡単な方法」その他の記事はこちら

 

久代登志男(くしろ・としお)先生

医学博士、日野原記念クリニック所長、(財)ライフ・プランニング・センター理事長。専門は循環器学、特に高血圧の臨床と循環器疾患の予防で、将来を見据えた健康サポートを行っている。著書に『高血圧がスーッと落ち着くタオルグリップ法』(洋泉社)など。

この記事は『毎日が発見』2020年4月号に掲載の情報です。
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