冬になると外出が減りがちです。暖房の効いた家で、糖質の多いおもちやみかんを食べて、運動しない生活では、体に脂肪がつき糖尿病の原因に。糖尿病の原因である「脂肪肝」になっているかどうかを調べるためには、肝機能の三つの数値が重要です。長年、糖尿病の治療を行っている栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅先生に、肝機能の数値と脂肪肝、糖尿病との関連について聞きました。
肝機能の三つの数値を理想値に保つ
脂肪肝かどうかを調べるには、血液検査でALT、AST、γ-GTP(ガンマ・ジーティーピー)の三つの数値を確認します。
脂肪肝を防ぐために栗原先生が提唱するのは、ALTとASTを「16IU/ℓ以下」に保つこと。
これは一般的な基準値に比べて、かなり厳しい数値だといえます。
「これまで数千人を治療してきた結果、ALTとASTが17IU/ℓ以上になると脂肪肝になり始めることが分かりました。肝機能の数値が上がると、それに連動して血糖値とヘモグロビンA1cの値も上がります」と栗原先生。
糖尿病を防ぐには肝機能値を理想値に保ちましょう。
そのためには食べ方に気を付けて、体操をすることが必要です。
栗原先生が提唱する理想値!血液検査で分かる肝機能を表す三つの数値
肝機能の数値である「ALT」「AST」「γ-GTP」は、いずれも一般的な健康診断で測定されます。
栗原先生が提唱する理想値、要注意の数値、脂肪肝、一般的な基準値は以下の通りです。
肝臓に多く含まれている酵素で、アミノ酸を作るときに使われます。
肝臓の細胞が破壊されると、細胞内のALTが血液中に放出されます。
ALTの数値が高いということは、肝細胞の破壊が進んでいることを示しています。
肝臓や筋肉などに含まれている酵素で、アミノ酸の酸を作るときに使われます。
肝臓だけでなく筋肉など他の細胞が破壊されても、ASTが血液中に放出されて数値が上がります。
ALTとの比較で、肝機能の状態を推察します。
肝臓に含まれる酵素で、たんぱく質を分解、合成します。
アルコールを飲み過ぎたりストレスを感じると増えて、血液中に放出され数値が上がります。
ALT、ASTとのバランスで、アルコール性肝障害を診断する目安になります。
取材・文/松澤ゆかり