冬になると外出が減りがちです。暖房の効いたお家で糖質の多い、お正月のお楽しみのお餅やみかんを食べて、運動しない生活では、体に脂肪がつき糖尿病の原因に。糖尿病についての知識を深めて予防・改善をしましょう。長年、糖尿病の治療を行っている栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅先生に、糖尿病で怖い3大合併症について聞きました。
肝臓の専門医だから分かった糖尿病を引き起こす真犯人!
糖尿病はかなり進行しないと自覚症状が出ません。
早い段階で糖尿病を見つけるために重要な数値が「血糖値」です。
血糖値とは血液中の血糖(ブドウ糖)の濃度のことです。
血糖値を上げるのはご飯やパンなどに含まれる「糖質」です。
冬においしい食べ物には糖質が多く含まれる
糖質はお正月に食べるお餅にも含まれています。
お餅2切れで、ご飯約1杯分の糖質を含みます。
また、みかんに含まれる果糖という糖質は、吸収スピードが速く、血糖値を急上昇させます。
お餅やみかんを食べ過ぎに気を付けましょう。
糖質は胃や腸で分解されてブドウ糖になり、血液に吸収されます。
食後は血糖値が上がり、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて下がります。「糖質を摂り過ぎるとインスリンの働きが悪くなり、血糖値が下がらず血管が傷つきます。これが糖尿病です」と栗原先生は話します。
糖尿病は合併症を起こすことがあり神経障害や網膜症、腎症にもなります。
じわじわと忍び寄る怖い3大合併症
し→神経障害(しんけいしょうがい)
神経障害が起きて、顔面がまひしたり、けがややけどの痛みを感じられずに悪化させることがある。
め→網膜症(もうまくしょう)
「め」は目の網膜の血管がもろくなること。眼底出血や網膜剝離を起こしたり、失明することもある。
じ→腎症(じんしょう)
腎臓で老廃物をろ過する機能が失われる。腎不全で人工透析を受けなければならなくなることも。
取材・文/松澤ゆかり