加齢に伴い「中年以降」に生じやすい「老人性いぼ」ができる仕組み

年を重ねるうちに顔や首などにいぼができて、気付いたときにはずらり並ぶようなことも起こります。シミだった皮膚が黒く盛り上がっていぼになってしまうことも。 いぼは放置して良いもの?今回は新宿南口皮膚科院長の乃木田俊辰先生に「老人性いぼ」ができる仕組みについて教えてもらいました。

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加齢で生じやすい脂漏性角化症は、「老人性疣贅」や「老人性いぼ」と呼ばれます。老化現象との関わりが深く、誰にでも生じやすいものです。

「老人性疣贅は加齢と紫外線との関係が深いのです」と乃木田先生。

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織で成り立ちます。

表皮の表面には角質層が積み重なってバリア機能を構築しています。

表面の古い角質は垢と一緒に剝がれ落ちて新しいものに変わり、これをターンオーバーといいます。

「加齢や紫外線は、ターンオーバーを低下させます。本来剝がれ落ちるべき角質が蓄積し、細胞が異常増殖していぼになるのが脂漏性角化症なのです」と乃木田先生は説明します。

黒っぽいいぼは、メラニン色素と関係しています。

紫外線を浴びたときに身を守るために、表皮でメラニン色素が作られ、肌の色が濃くなります。

夏場の日焼けはメラニン色素のなせる業。

役割を終えたメラニン色素は角質と一緒に排出されますが、ターンオーバー機能が低下していると、メラニン色素が排出されずに残ってしまうのです。

それがシミで、そこにいぼが生じると真っ黒ないぼになります。

「ターンオーバー機能が低下した皮膚は、バリア機能が壊れることから表皮の下の真皮にも悪影響が及びます。真皮はコラーゲン線維によってクッションのような役割を果たしますが、機能が失われるとたるみやシワにつながるのです」と乃木田先生。

肌のたるみやシワは老化現象ですが、表皮のバリア機能が壊れている証でもあるのです。

そのような肌には、シミのみならずいぼも生じやすくなります。

脂漏性角化症は老化や紫外線が原因です。

「年齢を問わずに生じやすいのは、ウイルス感染に起因したウイルス性いぼです。お子さんに多いのは、ポックスウイルスに感染した水いぼ。バリア機能が弱い皮膚にはウイルスが感染しやすく、ウイルス性いぼが生じやすいのです」

老人性疣贅ができる仕組み

●新陳代謝が盛んに行われているとき
真皮を紫外線から守る

加齢に伴い「中年以降」に生じやすい「老人性いぼ」ができる仕組み 1912p087_01.jpg紫外線は体内の活性酸素を増やしてサビ(酸化)を促進させます。表皮は角質層、メラニン色素によるバリア機能で、紫外線の侵入を防いでいます。

●新陳代謝が低下すると...

メラニン色素が徐々に蓄積し、 シミになる

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老人性いぼ
紫外線刺激による皮膚の老化

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角質層の排出機能などが低下してメラニン色素が沈着するとシミになり、その部分で角質層が盛り上がり、角化細胞が増殖すると黒っぽい老人性いぼになります。

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新宿南口皮膚科院長東京医科大学皮膚科兼任教授
乃木田俊辰(
のぎた・としたつ)先生

熊本大学医学部卒。東京大学医学部皮膚科で医学博士取得。東京女子医科大学皮膚科助教授、米国ハーバード大学医学部留学を経て、2003年新宿南口皮膚科院長。10年より現職。

この記事は『毎日が発見』2019年12月号に掲載の情報です。

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