認知症の3大リスクをご存知ですか?早いほどよい「もの忘れ対策」のススメ

年齢を重ねると誰でも、人の名前が思い出せなくなったり、もの覚えが悪くなったりします。こうした「もの忘れ」は加齢によるもので、心配することはありません。しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。少しでも早く発見して、いまよりも症状がひどくならないための対策が必要です。日々の生活の中で取り組める認知症予防について、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授の森下竜一先生に教えていただきました。

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「もの忘れ」が気になったら・・・脳の健康度をチェック!

「近頃、忘れやすくなった」「思い出せないことが増えた」なんてことが起きると心配になってしまいますよね。みなさんにも、こんな経験はありませんか?

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この「人付き合い編」のもの忘れは、加齢によるもの
特に心配はいりません

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この「日常生活編」もの忘れは、認知症によるものかも
一つでも該当したら病院で相談を

「もの忘れ」への対策は早ければ早いほどベストです

「最近、もの忘れが多くなった」と気になっていませんか? 
実は「もの忘れ」と一口に言っても、心配なものとそうでないものがあります。

そもそも加齢によって忘れっぽくなるというのは、誰にでもあること。心配には及びません。

これに対して「心配なもの忘れ」とは、認知症によって起きている可能性があるもの。「少しでも気になったら、早めの対策を」と呼びかけるのは、森下竜一先生です。

「認知症は、現在では病気が進行してしまってからでは、残念ながら元に戻すことはできません。とはいえ、認知症になる手前のMCI(軽度認知機能障害)の段階であれば、再び正常に戻ることもありますし、少なくとも進行を予防できる可能性は十分にあります」(森下先生)

予防のカギは、生活習慣病を治すこと。

最近は、認知症が生活習慣病と深く関係していることがよく知られています。中でも糖尿病は、認知機能の悪化を招く生活習慣病の代表例。高血圧も脳の血管に障害を引き起こし、認知症の大きなリスクとなります。

さらには、日本人に多い喫煙習慣や、高齢になり社会参加の機会が減ることも、認知機能を低下させる要因に。できるだけ外へ出て、人との交流を増やすことは、予防の第一歩といえるでしょう。

「実は最近になって、認知症の発症の一因となりうるこれらの病気や生活習慣が、慢性炎症と密接に関係していることが分かってきました」と森下先生。

予防できる! 認知症の3大リスク

高血圧

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中年期および老年期に血圧が高い人ほど、脳血管性認知症を発症するリスクが高いことが分かっています。

治療によって血圧をコントロールすることで、認知症の発症や認知機能低下の抑制が期待できます。

喫煙

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喫煙により、血管が収縮して血流が低下すると、細胞に新鮮な酸素と栄養素が十分に届けられなくなり、脳の血管に障害が起こり、認知症のリスクが高まります。

禁煙は、すぐにできる認知症予防の第一歩です。

糖尿病

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老年期のアルツハイマー型認知症は、脳の糖尿病ともいわれ、糖尿病と認知症には密接な関係があることが分かっています。

治療により、血糖値を正常にコントロールすることが認知症の予防にもつながります。


リスクがあると・・・
体の中で慢性炎症が起こっています!

※記載の倍率は、その因子を持つ人が持たない人に比べてどれくらい認知症になりやすいかを示した相対リスクです。
出典:Livingston G,et al.Lancet.2017 Jul 19.

取材・文/笑(寳田真由美)、佐藤あゆ美 イラスト/石坂 香

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<教えてくれた人>

森下竜一(もりした・りゅういち)先生

大阪大学 大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授。大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米国スタンフォード大学循環器科客員講師を経て現職。内閣官房 健康医療戦略参与、日本脳血管・認知症学会理事長などを務める。

この記事は『毎日が発見』2019年11月号に掲載の情報です。

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