放置すると悪化し心筋梗塞にも...50代から要チェックの「冠動脈疾患」とは

日ごろ、動悸や息切れを感じることはありませんか? 胸のあたりの違和感は、思わぬ病気が隠れている可能性があるので、放置せずに医師の診療を受けることが大切です。「こんな症状があって心配」という方のために、今回はCVIC心臓画像 クリニック飯田橋理事長、寺島正浩先生に、冠動脈疾患について教えていただきました。

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命を守るためには定期的の心臓の検査を

冠動脈は、休むことなく働き続ける心臓に酸素と栄養を届けています。しかし、年齢とともに内壁に汚れが付着して血栓ができやすくなります。すると血流が悪くなって心臓が酸欠状態になり心機能が低下します。

体を動かす(労作)時に胸、肩、首の痛み。圧迫感を覚えるのが労作性狭心症。安静時に痛みを感じる場合には、冠動脈が一過性でけいれんを起こし血流が一時的に止まる冠れん縮性狭心症の可能性があります。

狭心症による発作の痛みは数分で治りますが、冠動脈の汚れがひどくなり血流が悪くなると、労作時にも安静時にも狭心症を起こす不安定狭心症になります。放置すると心筋梗塞にまで悪化して心臓がすこしずつ壊死してしまいます。

「心臓の血管が徐々に詰まると、その血管の働きを補って心臓を助けようと新たな血管が作られるため、無症状のまま狭心症や心筋梗塞が悪化することも多いです。50代を過ぎたら一度は心電図、胸部X線検査、心臓超音波検査、血液検査、心臓MRI、CT検査などで心臓の健康チェックを」

治療法は?

狭心症の薬には冠動脈を広げて血流を良くする「血管拡張薬」と、興奮する神経である交感神経の活動を抑え、血圧を低くし、脈拍数も少なくして、心臓の負担を軽減する「β遮断薬」があります。心筋梗塞は血管内にたまった汚れが、完全に血管をふさいでいる状態です。そのため、症状が起こったらすぐに救急車を呼んで病院で治療を受けましょう。血管内に細い管(カテーテル)を入れて風船やステントで治療する方法などがあります。

狭心症

労作性狭心症の仕組み

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冠れん縮性狭心症の仕組み

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冠動脈の内壁に汚れがたま ったり、血管がけいれんすると狭くなります。すると血液の量が不足して酸欠状態になり、胸痛が発生するのです。

心筋梗塞

放置すると悪化し心筋梗塞にも...50代から要チェックの「冠動脈疾患」とは 1909p045_3.jpg急性心筋梗塞の仕組み

冠動脈に汚れがたまり、完全に詰まると心筋梗塞を発症し、心筋が壊死してしまいます。心機能が低下し突然死に至ることも。

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取材・文/宇山恵子 デザイン/根岸良介(omodaka)

 

<教えてくれた人>

CVIC心臓画像 クリニック飯田橋理事長

寺島正浩(てらしま・まさひろ)先生

神戸大学医学部卒。国立循環器病センター、米国 スタンフォード大などを経て日本初の心臓特化型画像診断センターを開設。心臓を3Dで画像診断し、病気 の早期発見と予防に貢献。

この記事は『毎日が発見』2019年9月号に掲載の情報です。

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