頭は下に向けて!名医が教える効果的な「鼻うがい」のやり方

「咳が1週間くらい長引いても自然に治るのを待つ」というあなた。放置していると全身に悪影響を及ぼすかもしれません。毎月2000人以上の患者を治療してきた呼吸器の名医・杉原徳彦先生は、実は悪さをしているのは「のどではなく鼻の奥」と言います。そこで、杉原先生の新刊『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から、「長引く咳」の正体から治療法までを毎日9:30に連載形式でお届けします。

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治療と組み合すと効果大!1日2回の「鼻うがい」

長引く咳や、その原因となっている鼻の不調を改善・解消、あるいは予防するために、みなさんがご自分でできるセルフケアをご紹介しましょう。

慢性副鼻腔炎は、正直なところ、治りにくい病気ですが、その治療効果を高めてくれるセルフケアはあります。

それは、「鼻うがい」です。

当院でも、薬を使った治療と同時並行で、患者さんには鼻うがいをおすすめしています。そして、それを習慣にするようになった方からは、副鼻腔炎の症状である痰がらみや後鼻漏などをあまり感じなくなった、という感想を数多くいただいています。

軽い副鼻腔炎の人の場合、鼻うがいだけで治るケースもあります。そのため、妊娠中など、薬物治療を避けたほうがいい場合などで、症状の軽い患者さんの場合、食塩水による鼻うがいだけで治していただく場合もあります。

鼻うがいで副鼻腔炎の症状がやわらぐのは、1%の食塩水で鼻腔や咽頭あたりを洗うことで、炎症性の物質が薄めるからです。

その結果、副鼻腔炎で生じやすいネバネバした鼻水がすっきりしたり、後鼻漏をあまり感じなくなったり、といったことが起こるのです。

気管支等に流れ込む炎症性の物質が薄められることで、炎症の悪化を抑え、ぜんそく等の気管支や肺に関連する疾患の症状も、やわらげることができます。

そのほか、アレルギーの原因物質やウイルス・細菌なども除去することができ、アレルギー性鼻炎やぜんそくの症状の予防にもつながります。

鼻の炎症を治す「鼻うがい」の手順

<用意するもの>
・1%食塩水4~6m(1鼻片につき2~3ml)
・ノズルつきプラスティック容器(醤油さしがおすすめ)
・ティッシュペーパー
・重曹(水100ccに対して0.5mg)

<1%食塩水の作り方>
1.水100ccに食塩1gを溶かし、1%の食塩水を作り、0.5mgの重曹を入れる。
2.1をノズルつきのプラスティック容器に入れる(冷蔵庫で1か月保存可能)。

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一般的には、約0.9%の生理食塩水が用いられますが、私はそれよりもやや濃い1%の食塩水をおすすめしています。塩による粘膜の引き締め効果をしっかり出すためです。

粘膜が引き締まることは、鼻づまりの解消につながります(高血圧等で塩分の摂取に注意が必要な方は、生理食塩水を用いることをおすすめします)。

自分でつくるのが大変であれば、市販の鼻うがい薬を使ってもいいでしょう。中には、重曹入りや、ハッカ入りのものなどもあり、患者さんたちの話では、食塩水だけのものよりも鼻の中がスッキリするそうです。

より効果を高めるには、行うタイミングも重要です。おすすめしているのは、「寝る前」と「起きた後」の2回です。

副鼻腔で産出される炎症性の物質を含んだ鼻水や膿は、寝ている間も上気道や下気道へと流れていきます。

そこで、寝る前の鼻うがいで、炎症性の物質を薄めておくのです。そうすれば、鼻腔より下に炎症が飛び火するのを防ぎやすくなります。

また、1日の活動で鼻腔内に溜ったハウスダスト等を、鼻うがいで洗い流す効果もあります。朝起きたあとにも鼻うがいをするのは、寝ている間に溜った炎症性の物質を洗い流していくためです。2つのタイミングで行うことで、鼻腔内がよりきれいになり、その結果、上気道から下気道への炎症もやわらげることができます。

気軽に使えるスプレーの「鼻うがい」

また、最近は「スプレー」タイプのものもあります。鼻の中にノズルで食塩水を流し込むのが苦手な患者さんには、「サイナスミスト」(ニールメッド株式会社)のような、スプレータイプのものをおすすめしています(ネット通販で購入できるので、ぜひ試してみてください)。

この場合、手順が通常の鼻うがいとやや異なります。

まず、鼻の穴に液体をスプレーした後、頭のてっぺんを床側に向けるように深くおじぎをし、20秒ほど待ちます。こうすることで、鼻腔の粘膜全体に液体を浸透させることができます。そして、もとの姿勢に戻し、鼻をかんで鼻の中の液体を出します。

鼻うがいの頻度(スプレータイプも含む)は、1日2回くらいで、それ以上は行わないほうがいいでしょう。

頻繁に行うと食塩水が耳に入るリスクを高めてしまい、中耳炎等の原因になりかねないからです。

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実は鼻の炎症が原因かも!?「つらいせきが続いたら」記事リストはこちら!

030-shoei.jpg4章にわたり、長引く咳の原因と対策を網羅。咳対策用の枕、マスク、お茶の選び方などセルフケアの実践方法も紹介されています

 

杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)

1967年8月13日生まれ。医療法人社団仁友会 仁友クリニック院長。医学博士。専門は呼吸器内科。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)呼吸器科勤務を経て現職。上気道と下気道の炎症に着目した独自の視点で喘息診療を行う。

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『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』

(杉原徳彦/あさ出版)

「長引く咳」「痰がからみやすい」、放置しがちな体のちょっとした異変は、「鼻の炎症」が原因かもしれません。そのままにしておくと、全身に危険が迫る可能性も!?日本全国から毎月2000人以上の患者を受け入れて治療にあたる、呼吸器の名医がまとめた初著書の中には、思い当ることが多すぎて、きっと鼻の治療をすぐに始めたくなります。

 

『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)特設ページ

※この記事は『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(杉原徳彦/あさ出版)からの抜粋です。

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