咳がどうしても止まらない...医師が伝えたい「治療のタイミング」

「咳が1週間くらい長引いても自然に治るのを待つ」というあなた。放置していると全身に悪影響を及ぼすかもしれません。毎月2000人以上の患者を治療してきた呼吸器の名医・杉原徳彦先生は、実は悪さをしているのは「のどではなく鼻の奥」と言います。そこで、杉原先生の新刊『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から、「長引く咳」の正体から治療法までを毎日9:30に連載形式でお届けします。

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「長引く咳」は完治する?

「治療によって、この咳は完治するのでしょうか?」という質問を、患者さんからしばしば受けます。みなさんにとっても、もっとも気になることでしょう。

咳がおさまるには、結局のところ、その原因となっている病気が完治することが肝心です。鼻や気管支などに炎症が多少でも残ってしまえば、再発の可能性が高くなるからです。

まず、咳ぜんそくや気管支ぜんそくは、基本的には治る病気です。つまり、治療をすることで、気道の炎症を鎮め、咳や痰、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい)などの症状が出ない状態に戻すことはできます。

ただし、それは、「できるだけ早く治療をスタートすれば」です。

咳ぜんそくも気管支ぜんそくも、治療が早ければ早いほど完治する確率が高くなります。逆に、そのまま放置する時間が長ければ長いほど、治りにくくなります。場合によっては「年」単位の治療を覚悟する必要があります。

とくに、注意が必要なのが、気管支の炎症を長い間放っておいたことによって、気道が「リモデリング」という状態になった場合です。

リモデリングとは、炎症がくり返されることで、気管支の壁が次第に厚くなり、そのぶん、気道が狭くなった状態で固まることです。こうなると、ぜんそくの症状がますます出やすくなり、その結果、さらにリモデリングを進行させる、という悪循環に陥ります。

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なので、気管支ぜんそくを治すには、リモデリングが起きる前に治療をスタートさせることが重要なのです。

また、慢性副鼻腔炎においても、完治するのが厳しい患者さんもおられます。治療を続けても、副鼻腔にくすぶる細菌を完全に取りきるのは難しいからです。

また、炎症をくり返すことで、副鼻腔内部が気管支ぜんそくのリモデリングのような状態になることもあります。

ですが、時間をかけて治療をすることで、状態をよくしていくことはできます。私の感覚では、これも年単位です。副鼻腔炎の治療はそれくらい長丁場になるのです。

それでも、治療を始めると、鼻づまりや鼻水、後鼻漏、さらには長引く咳といった副鼻腔炎の症状そのものは、意外と短期間でよくなります。治療を続けるうちに、そうした症状が再発しにくくなるのです。

実は鼻の炎症が原因かも!?「つらいせきが続いたら」記事リストはこちら!

030-shoei.jpg4章にわたり、長引く咳の原因と対策を網羅。咳対策用の枕、マスク、お茶の選び方などセルフケアの実践方法も紹介されています

 

杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)

1967年8月13日生まれ。医療法人社団仁友会 仁友クリニック院長。医学博士。専門は呼吸器内科。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)呼吸器科勤務を経て現職。上気道と下気道の炎症に着目した独自の視点で喘息診療を行う。

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『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』

(杉原徳彦/あさ出版)

「長引く咳」「痰がからみやすい」、放置しがちな体のちょっとした異変は、「鼻の炎症」が原因かもしれません。そのままにしておくと、全身に危険が迫る可能性も!?日本全国から毎月2000人以上の患者を受け入れて治療にあたる、呼吸器の名医がまとめた初著書の中には、思い当ることが多すぎて、きっと鼻の治療をすぐに始めたくなります。

※この記事は『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(杉原徳彦/あさ出版)からの抜粋です。

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