「人生の最期のときまで住み慣れた自宅で過ごしたい」と願う人は多いですが、それをかなえるためには、自分が終末期にどのような治療を受けたいかという「意思表示」が重要です。長年「在宅医療」に携わってきた医療法人アスムス理事長の太田秀樹先生に、延命治療に対しての意思表示についてお聞きしました。
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延命治療に対する意思表示の大切さ
「終末期」とは治療効果が期待できず、余命が近いと判断された時期です。ケースによっては人工呼吸、胃ろうなどの「延命治療」や、痛みを和らげる「緩和ケア」などが行われます。
「最近では『エンディングノート』が手軽に書店などで購入できます。終末期医療についての自分の意思を記入しておけば、事前指示書として用いることができ、不安を取り除けます」と太田先生は言います。
下のシートは太田先生の取材を基に「毎日が発見」編集部が作成。自分の意思を簡潔に明記できるので活用しましょう。
終末期医療についての自分の意思を伝える「事前指示書」の例
1 告知について
□病名も余命も告知しないでほしい
□病名のみ告知してほしい
□余命が( )カ月以上であれば病名・余命とも告知してほしい
□病名・余命とも告知してほしい
□その他( )
2 介護が必要になったときどうしたいか
□自宅で家族に介護してほしい
□自宅でヘルパーなどプロに介護を手伝ってもらい家族と過ごしたい
□介護施設や病院に入りたい
□家族や親族の判断に任せる
3 看護や介護にかかる費用はどうしたいか
□預貯金や年金など自分の財産から使ってほしい
□保険に加入しているのでそれを使ってほしい
保険会社名( )
保険名( )
連絡先( )
□家族や親族の判断に任せる
4 自分で判断するのが難しくなったときの財産管理を誰に頼むか
□配偶者(名前 )
□子ども(名前 )
□その他の人(名前 )
□任意後見人(任意後見契約)
□代理人(委任契約)
□特に契約していない
5 終末期医療について
□自宅で受けたい
□施設などで受けたい
□病院に入院して受けたい
□家族や親族の判断に任せる
6 延命治療について
□最後までできる限りの延命治療をしてほしい
□延命治療よりも苦痛を緩和することを重視してほしい
□回復の見込みがないのなら延命治療を中止してもかまわない
□死期を引き延ばすだけの延命治療は行わず、自然の経過をそのまま受け入れた「尊厳死」を希望する
□その他( )
「書面でも口頭でも、どのような形でもいいので、終末期医療について、家族や医師などに意思表示をしておくことが大切です」と太田先生。
終末期を自分らしくすごすための準備のために、参考にしてみてください。
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取材・文/松澤ゆかり