回転性めまいが特徴の「メニエール病」は耳の症状「難聴や耳鳴り」を伴う/難聴・めまい

「難聴で相手の話が聞き取りにくい」「めまいがつらくて気分までふさぎこんでしまう」など、難聴やめまいに悩む人はどの年齢にもいて、悪化すると生活に支障が出ることがあります。「急に耳が聞こえなくなった」という場合は、すぐに受診したほうがいいことも。難聴やめまいなどの症状や治療法、受診の目安、日ごろの注意点などについて、聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教授の肥塚泉先生に聞きました。

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●回転性めまいが繰り返されるメニエール病とは?

メニエール病の特徴は、回転性めまいが1回だけではなくて、何度も繰り返されることです。
男性も発症しますが、近年は比較的、40歳代から60歳代の女性に多いです。1回のめまいの長さは10分程度から数時間程度。症状は次第におさまりますが、それが繰り返し起こります。めまいが起こる間隔は個人差があり、週に何度もめまいを起こす人もいれば、年に1回ほどの人もいます。メニエール病ではめまいと同時に「耳鳴り」「耳が詰まる感じ」「低音域が聞きにくい」などの難聴の症状を伴います。ほかに吐き気、嘔吐などの症状が現れることも。症状がおさまれば普段の生活に戻ることは可能ですが、ふらつきや耳鳴りが続くことがあります。
 

●原因は内リンパ液の過剰な増加。「ストレス」も関与か?

メニエール病は内耳のリンパ液が増えすぎて水ぶくれ(内リンパ水腫)になるのが原因です。内耳にある三半規管や耳石器、蝸牛の内部は内リンパ液で満たされています。何らかの原因で、内リンパ液が過剰に溜まって水ぶくれ状態になると、三半規管や耳石器の機能に障害が生じてめまいが発生します。蝸牛の機能に障害が生じると耳鳴り、耳が詰まる、難聴などの耳の症状も現れるのです。

内リンパ液が過剰に増える理由や原因ははっきりしていませんが、現在の段階で示されているのは「ストレス」が関与しているのではないかという考え方です。仕事や人間関係、子育て、家事、介護などでストレスを抱えている人に起こりやすいといえるでしょう。特に近年、女性のメニエール病患者の原因として増えているのは「介護疲れ」です。性格的にはきちょうめんで真面目な人に多いといわれています。

「ストレスの影響からホルモンの分泌バランスが乱れてしまい、『抗利尿ホルモン』という水分を体内に溜め込む働きがあるホルモンが多量に分泌されてしまいます。さらに何らかの原因が加わると内耳のリンパ液が増えすぎて、水ぶくれになると考えられています。抗利尿ホルモンの抑制がめまい解消の鍵になります」と肥塚先生。
 

●ストレスを受けやすく、メニエール病になりやすい人の特徴

・40歳代から60歳代の女性
・若い人、新卒者、定年前の人
・性格がきちょうめんで真面目な人
・責任感が強い人
・何ごとにもコツコツ努力する人
・おとなしくて、内向的な人
・人に頼まれたら断れない人
・物事がうまくいかないと落ち込む人
・とり越し苦労が多い人
・1人で何でも背負い込んでしまう人

 
●メニエール病の診断と治療法

めまいで受診すると問診で医師から「どんなめまいが、何回繰り返すのか」「耳の症状は起きているか」「めまいがおさまると耳の症状もおさまるか」など、めまいの状態と聴覚の症状を聞かれます。ろれつが回らない、顔の動きが悪いなど脳の異常が予想されるような症状がある場合は、CTやMRIなどの画像診断で脳の状態を調べます。耳に異常がある場合は聴覚検査が行われます。

「めまいが起きたとき、耳鼻咽喉科ではなくて内科を受診する人がいますが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)とメニエール病の診断をつけるのは専門医でないと難しく、誤診されることもあります。めまいは耳鼻咽喉科やめまい外来などの専門の診療科で受診することが大切です」と肥塚先生。
 
メニエール病の治療では、気分転換や運動などで、めまいを改善する方法が行われています。内服薬では、原因である内耳の水ぶくれ(内リンパ水腫)から水分を排出するために、尿の排出を促す利尿薬を服用します。内耳の血液循環をよくする内耳循環改善薬を用いることもあります。


●ストレスでメニエール病を発症した40歳代の女性の例

40歳代でメニエール病を発症した女性Aさん。最初、職場のパソコン画面がぼやけて焦点が合わなくなりました。自分でも「おかしい」と気づいたときには、激しい嘔吐に襲われてトイレに駆け込んだそうです。目の前の景色がグルグルと回り、目で追えないほどだったといいます。耳鼻咽喉科を受診して検査を受けた結果、聴力も下がっていてメニエール病と診断されました。抗めまい薬の服用と運動を行うと、2、3日でだいぶ体調がよくなりました。

原因は職場の異動でストレスが溜まっていたこと。その頃、部屋の空気、香水、自宅の庭の雑草など、あらゆる臭いにも敏感になっていたそうです。その後も、何度かグルグルと回る激しいめまいに襲われましたが、薬を2カ月服用し運動も継続。発作は次第に減っていきました。

 

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取材・文/松澤ゆかり

 

 

<教えてくれた人>

肥塚泉(こいづか・いずみ)先生

聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教授。同大学卒業後、大阪大学医学部耳鼻咽喉科、米国ピッツバーグ大学医学部耳鼻咽喉科などを経て2000年より現職。「めまい外来」を担当し5万人以上の診察にあたる。日本耳鼻咽喉科学会(理事、評議員、専門医)、日本めまい平衡医学会(理事、専門会員、評議員、めまい相談医)。著書に『図解 専門医が教える!めまい・メニエール病を自分で治す正しい知識と最新療法』(日東書院)などがある。

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