「ガンコで融通がきかない! 」「思い込みが激しすぎる! 」...高齢になってきた親の行動に、毎日イライラしていませんか? 実は、それらの行動には理由があるのです。人気ブロガー、なとみみわさんの母と姑の"理解できない"行動を、大阪大学大学院教授の佐藤眞一先生が老年行動学で解明。理由が分かれば、あなたの親の行動も納得できるかも!
※この記事は『まいにちが、あっけらかん。―高齢になった母の気持ちと行動が納得できる心得帖』(なとみみわ 佐藤眞一/つちや書店)からの抜粋です。
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高齢になると穏やかだった人でも短気になるようですが、これは主にストレスが原因です。過剰なストレスが、我慢を抑制できない性格にさせてしまっているのです。
高齢者は身体能力が低下して思うように体が動かなくなったり、変化の激しい現代の世の中に理解が追いつかず、自分自身に対して慢性的にイライラしているところへ、さらに家族から年寄り扱いされることもあって、私たちが想像している以上に、自己評価を否定され、ストレスを感じる機会の多い環境に身を置いています。
また、思考や感情、理性を担う前頭葉の抑制機能も老化によって低下しているので、自分の感情を抑えにくく、まわりに気を使う心の余裕がなくなっています。
お母さんのように人の悪口が口ぐせのようになっている高齢者は多いようですが、これは「自分はまったく悪くない、悪いのは相手のほうだ」と思い込むことで、自分の行動を正当化させ、気持ちを楽にさせようという自己防衛の心理が働いていることで起こります。
このように相手に対して攻撃的になりやすい人は、孤独や孤立を感じている場合が多く、「まわりの人が一緒に何もしてくれないのは、自分の気持ちを理解してくれない相手が悪い」すなわち、自分の不幸は他人や環境のせいという「他罰(たばつ)」の感情を持つようになっているのです。
今回の場合、お母さんは自分の味方になってほしくてなとみさんに連絡をしています。ところが、一方的に自分の考えを否定されてしまったので、さらに孤独を感じてしまい、なとみさんに対してもさらに憤慨してしまったのでしょう。
ところで、高齢になってちょっとしたことでも怒りやすくなるのは、女性よりも男性のほうが多いように感じます。特に現役時代にバリバリ仕事をしていた人ほど自己評価とプライドが高いので、自分への評価が否定されると我慢できなくなってしまうようです。できる限り味方になって、ストレスを減らしてあげることが大切です。
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