痛みを取るために何でもいいから薬を飲むのはNG。正しい薬剤選びが重要です/坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。

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原因となる病気や症状に合わせて
上手に薬剤を活用しましょう

お尻から下肢にかけて痛みやしびれがあらわれる坐骨神経痛は、保存療法での治療が基本です。なかでも上手に付き合いたいのが、薬物療法のお薬です。

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「薬物療法は、あくまでも対症療法なので、病気の原因を根本的に治すものではありませんが、痛みを取ることは治療をする上でとても大切です。痛みが改善されれば、体を動かすこともラクになり、気持ちも前向きになるでしょう」(田村先生)

ここで、坐骨神経痛の治療によく用いられる薬をご紹介しましょう。
●鎮痛薬
痛みを鎮める他、解熱作用もあり。比較的副作用が少なく、安心して服用できます。
【主な薬】アスピリン、バファリン、カロナールなど
【主な副作用】吐き気、食欲不振など

●消炎鎮痛薬
痛みとともに炎症も抑える、非ステロイド性鎮痛薬。飲み薬の他、座薬、貼り薬がある。服用は長くても3カ月以内にとどめ、長期間の服用は避けましょう。
【主な薬】ポンタール、ボルタレン、ロキソニン、インテバン、モービック、ソレトン、セレコックスなど
【主な副作用】むかつき、胃炎、胃潰瘍、下痢などの胃腸症状、過敏症、発疹、肝障害、腎障害など

●ビタミンB12製剤
傷ついた神経の組織を回復させます。
【主な薬】メチコバール、コバメチンなど
【主な副作用】発疹、食欲不振、吐き気、下痢など

●神経障害性疼痛薬
神経の痛みを抑えます。
【主な薬】リリカ
【主な副作用】めまいや眠気、むくみ、体重増加など

●筋緊張弛緩薬
筋肉のこわばりをやわらげる。消炎鎮痛薬と一緒に使うと効果的とされています。
【主な薬】ミオナール、アロフト、テルネリン、ムスカルム、リンラキサーなど
【主な副作用】発疹、眠気、ふらつきなどの神経症状、吐き気や嘔吐、口の渇きなど

●血流改善薬(循環障害改善薬)
血管を広げ、神経の血行を良くする。痛みの改善効果が高い薬。
【主な薬】プロレナール、オパルモン、リマプロストなど
【主な副作用】吐き気、下痢などの胃腸症状、頭痛、ほてり、発疹、かゆみなど

●SNRI
脳内物質であるセロトニンとノルアドレナリンの不足を防ぐ。もともとうつ病の薬で、線維筋痛症などにも使われます。
【主な薬】サインバルタ
【主な副作用】眠気、むかつきなど

●弱オピオイド鎮痛薬
強オピオイド鎮痛薬ほど強い作用はない、非麻薬系鎮痛薬。解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンが配合されたものは、鎮痛効果が高く副作用が少ないとされます。慢性疼痛薬として長期間にわたる頑固な疼痛に使われます。
【主な薬】トラムセット(弱オピオイド鎮痛薬とアセトアミノフェンを配合)、トラマール、ワントラム、ノルスパンテープ(貼り薬)など
【主な副作用】吐き気や嘔吐、便秘などの胃腸症状、眠気やめまいなど

●強オピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)
強い痛みがあるのに手術ができない人などが対象。強オピオイド鎮痛薬を処方できるのは、麻薬処方の免許を持つ医師のみです。
【主な薬】デュロテップ、フェントス(ともに貼り薬)など
【主な副作用】眠気、吐き気や嘔吐、便秘、局所のかゆみや発疹など

 

「坐骨神経痛をやわらげるからと、何でもいいから薬を飲むというのはよくありません。"坐骨神経痛かも"と受診される方に多いのが、ロキソニンなどの消炎鎮痛薬を、長期間にわたって服用されているパターン。ロキソニンなどの消炎鎮痛薬は、痛みと炎症を抑える薬ですが、実は慢性的な坐骨神経痛の場合、炎症を起こしていないことが大半です。しかも、消炎鎮痛薬は長く服用すると、胃や腎臓に障害をもたらします。ロキソニンなどの消炎鎮痛薬を数カ月近くも飲んでいるのに症状が改善されないという場合は、すぐに整形外科や脊椎の専門外来のある病院を受診してください。自己判断で薬を飲み続けることは、絶対に避けましょう」(田村先生)

 

取材・文/笑(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

田村睦弘(たむら・むつひろ)先生

平和病院副院長・横浜脊椎脊脊髄病センター長、高月整形外科病院・脊椎センター長兼任。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(主婦の友社)、『女性のつらい「坐骨神経痛」はこうして改善する!』(PHP研究所)など著書多数。

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