現在、日本国内の患者数は1千万人を超えるとされる「糖尿病」。これはもはや現代の国民病と言えるかもしれません。もしも自分が、家族が糖尿病になったら、予備軍だったら、生活習慣をどのように変えていけば良いのでしょうか。
一生続けられる「血糖値を上げない習慣」について、京都大学医学部附属病院病院長で糖尿病・内分泌・栄養内科教授の稲垣暢也先生にお話を伺いました。
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今日からはじめる糖尿病が逃げていく生活習慣!
自分の身体を知って糖尿病を遠ざけよう
この記事を読んでくださっている皆さんに「『毎日が発見』式 チェックシート」をご紹介します。記入例を参考に毎日コツコツと書き込みを続けてみてください。
チェックシートの内容はいたって簡単で、その日の体重、歩いた歩数、3食を取った時間、食べた野菜の種類を記入するだけです。日記をつける気分で、振り返って思い出してください。きっといい脳のトレーニングになりますよ。記入するのをうっかり忘れてしまっても気にしないで。また次の日から始めればよいのです。
実際に食べた野菜を書き出してみると、意外に種類が少なかったりして、「もっと食べなきゃ」と改善点に気付くかもしれません。食事の時間も毎日バラバラで、時には1食抜いているなど、反省すべきポイントも見つかるはずです。
毎日体重計に乗るのも勇気が必要ですが、自分の体の真実を知るとてもいい方法です。体重は正直で、食べた分や、運動で消費された分はきちんと反映されます。体重から自分の体の傾向を知り、欠点や弱点を把握して、弱点を克服できるように生活習慣を立て直しましょう。
糖尿病は生活習慣病です。気が付かないうちに栄養が偏ったり、運動不足だったり、ストレスがたまったり、睡眠の質が低下していたりする日々が続くことで、インスリンの分泌能力が低下したり、インスリンが効きにくい体質になってしまうのです。良い生活習慣は、少しずつ実践していくことで、いつの間にか一生続けられるようになっていくのです。そして糖尿病を寄せ付けない生活を実現したいものですね。
■チェックポイント
★自分の体を知ることから始めよう
★記録することで見えてくるものがある
★今日はできなくても、また明日から始めれば良い、と気楽に考えて
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取材・文/宇山恵子