首や肩はいつもと少し違う動きをしたり、寝違えたりすることで日常的に痛みを感じやすい部位ですね。しかし首や肩の痛みがしつこく続く場合、それはただの寝違えなどによるものではないかもしれません。
首のしびれや痛みの悩み、自分でできる改善方法について、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長の銅冶英雄先生にお話を伺いました。
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前の記事「首の痛みに関係する「頸椎(けいつい)」ってどこにあるの? 手術をしなくても改善する?(2)」はこちら。
自宅で簡単に取り組める「首の痛みナビ体操」は、1日2~3時間おきに、首がこっていたり痛いときなどにも、無理のない範囲で行いましょう。
「運動不足や普段から姿勢が悪い人は、日常生活の姿勢を正すことも大切です。老化によって筋肉量は減り、骨の強度も弱くなるため、日常生活の姿勢が悪いと頚椎を含めた背骨全体がゆがみやすいといえます。正しい姿勢を意識していただきたい」と銅冶先生は話します。
家庭の調理台の位置が低いと、前かがみで料理を作ることになりますね。背中が丸まって猫背になっていませんか? また、スマートフォンを操作するときにも、前かがみで首を下げた状態で顎だけを突き出した姿勢になりやすいといえます。パソコン操作をするときもしかりです。
「背中が丸まり、顎を突き出す姿勢は、背骨をゆがめます。このような姿勢を長年続けることで、骨は曲がって椎間板はゆがみ、損傷してつぶれてしまうのです。それは、首の痛みや肩のこりのみならず、腰痛にもつながります。日常生活の正しい姿勢はとても重要なのです」
銅冶先生によれば、自分の姿勢は鏡を見ても分かりにくいそうです。そこで、壁に両肩をつけた状態で真っすぐに立って、ご家族などにチェックしてもらってみてください。体が床から90度に位置し、真っすぐな状態が正しい姿勢です。首が前に突き出たり、肩が壁から離れた状態は、姿勢が悪く骨が曲がっていることを示します。正しい姿勢を意識して、キープする心がけが必要です。
「椅子に座るときも、深く腰をかけて背筋が伸びるようにしましょう。真っすぐな背もたれの椅子ならば、正しい姿勢を保ちやすくなります。また、顎を引いて胸を張ることも意識してください。正しい姿勢を覚えて、外出先でも姿勢を意識することが重要になります」
銅冶先生直伝の「首の痛みナビ体操」と日常生活の正しい姿勢のキープで、首のツライ痛みを解消しましょう! ただし、激痛と同時に手足がまひして動かせない人、排尿障害や排便障害、高熱が伴っている人は、事前に整形外科できちんと診断を受けた方がよいそうです。また、手足に力が入りにくい、事故や転倒の後、関節リウマチやがんといった病気と診断されている人は主治医に相談した上で取り組むようにしましょう。
「痛みの強さの範囲は人それぞれ異なります。体操によって首の痛みが軽減する方向をご自身で体感し、それを道しるべのようにして動かすことで痛みを改善させるのが『首の痛みナビ体操』です。上手に取り入れながら、痛みの再発予防にも役立てていただきたいと思います」と銅冶先生は話します。さあ今日から始めましょう!
銅冶先生考案!今日からできる「首の痛みナビ体操」で首の痛みを改善
いずれも1日5セットが目安(2~3時間おきに)です。
それぞれ1→2の動き10回が1セット
●首引き体操 手を使う
●首引き体操 壁を使う
●うつむき体操
寝ている間に改善!
銅冶先生考案「手作り首フィット枕」
①の首枕はバスタオルの直径が5~8cmになるように丸める。②と③の低面枕、高面枕はバスタオルを折って重ねる。
取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤志