50代の死亡率が高まる乳がん...60代、70代も注意が必要⁉/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

50代の死亡率が高まる乳がん...60代、70代も注意が必要⁉/高谷典秀先生「なんでも健康相談」 13f6ea93332ec48a7f5d88bef0b42ef8.jpeg病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、胸の脇にできたしこりが乳がんなのでは?と心配する70代の女性からのお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。

 

胸の脇にしこりが...乳がんが心配です

76歳の女性です。先日、お風呂で体を洗っている際に気付いたのですが、胸の脇に赤い発疹ができており、その部分が小さなしこりになっているのに気がつきました。

いつ頃からできていたのかは分かりませんが、2週間ほど経っても、まだ治りません。反対側の胸にはそのようなしこりは無く、まさかとは思いますが、乳がんなのかと心配になりました。

乳がんなんて、若い女性の病気かと思いましたが、高齢でも乳がんになることはあるのでしょうか。それともただの吹出物なのでしょうか。

 

マンモグラフィ、超音波検査を!高齢者でも乳がんに注意必要です

今回は乳がんを心配されるご高齢の女性の方からのご相談です。

乳がんの罹患率は女性のがんの中では1位で、死亡率も年々増えています。年齢別にがんの罹患率をみると、胃がんや大腸がんなどの一般的ながんというものは、年齢を重ねるにつれて罹患率が上昇し、高齢期になるとさらに急上昇していくものです。しかし乳がんや子宮がんの場合は傾向が異なり、閉経時期である40代、50代に罹患率のピークがあり、とくに最近の傾向では50代の死亡率が高くなっているために、高齢者はあまりかからないと認識される方もあるかもしれません。しかし、実際には60代~70代になってもほぼ横ばいの罹患率となっており、若い女性に限らず、ご高齢の女性でも注意が必要ながんなのです。

最近ではマンモグラフィや乳腺超音波による定期的な検診を受けていただいて、早期発見、早期治療の重要性がかなり浸透してきているかと思います。それに加え、今回のケースのように、ご自身でしこりに気がつき、発見されるケースも少なくありません。

一般的に乳がんというものは、乳房の内部にあります乳腺にできるため早期から皮膚に変化が出てくることは稀ですが、進行してきたり、皮膚に近いところに発生すると、皮膚の表面に少しくぼみができたり、発疹ができたりします。あなたの場合、胸の脇部分に発疹があり、そこに小さなしこりが表面にあるという事ですので、乳がんとしてはあまり典型的な症状ではありません。

しかし、注意しなければならない点として、乳房の視触診だけの検診は有効性が否定されているということがあります。せっかくご自身で気が付かれた事ですし、油断はできませんので、一度は乳腺外来などを受けていただき、必ずマンモグラフィや乳腺超音波検査を受けるようにしてください。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

pic_takaya.png

高谷 典秀 先生(たかや・のりひで)

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP