骨粗鬆症に薬はある? 家での骨折が多いってホント? 骨に関するQ&A/骨活

pixta_6480401_S.jpg日本国内で1700万人以上の患者数が推計されている「骨粗鬆症」。骨がもろくなると、寝たきりにつながる要介護4または5の原因第3位である「骨折」になりやすくなってしまいます。骨粗鬆症を自分で予防&改善するための方法を、東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科専門部長の千葉優子先生に伺いました。

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「骨粗鬆症」とはどのようなものですか?

骨量が減って骨質が悪くなり、骨の強度が低下して骨折の危険性が増した状態のことです。健康な人の骨は、骨量が多く骨密度が高くて丈夫ですが、骨粗鬆症の人の骨は骨量が減りスカスカとした状態になります。骨の柔軟性も失われるため、少しの衝撃で骨折しやすいのです。

骨の強度は加齢とともに低下しますが、女性ホルモンとも関わります。女性ホルモンは骨が弱くなるのを防ぐ働きがあるので、閉経後に女性ホルモンが減少すると骨粗鬆症のリスクは増し、結果として、骨粗鬆症は高齢の女性に多いのです。検診の骨密度検査でリスクはわかりますが、検診を受けずに骨折して初めて診断される人もいます。

 
薬にはどのようなものがありますか?

骨は、骨吸収(破骨細胞)と骨形成(骨芽細胞)で成り立ち、このバランスが崩れると骨粗鬆症になるため。破骨細胞の働きを抑えるビスフォスフォネート系薬剤が治療の最初に投与される薬になります。また、破骨細胞を抑制する選択的エストロゲン受容体作用薬もあります。

一方、骨形成を助ける活性型ビタミンD製剤、ビタミンK2製剤、カルシウム製剤など栄養を補う薬や、骨の形成を促す副甲状腺ホルモン薬もあり、症状に合わせて処方します。薬の治療は、今後10年以内に予想される骨折のリスク確率が15%以上の場合に行われるのが一般的です。きちんと治療を受けることで骨折を予防でき、骨密度も上がると報告されています。

 
家で骨折する人が多いと聞きますが...

骨の強度が低下していると、室内の敷居につまづいただけでも、転倒・骨折につながります。ふとしたことで転びやすいのです。床に手をついて手首を骨折、足をひねって足首を骨折など、もろくなった骨は少しの衝撃で折れやすく、腰を打って脚の付け根の大腿骨頸部骨折になる人も少なくありません。大腿骨頸部骨折になると寝たきりにつながることもあるので注意が必要です。

骨の強度を増す体操やカルシウムなどを含む食事、さらには室内で転びやすい敷居にスロープ、階段にすべり止めや手すりなど、転びにくい生活環境の改善が重要です。室内での骨折予防にも努めましょう。

 
オーダーメイド医療とは

骨粗鬆症の程度は、身体状態や生活習慣などで患者によって異なります。痩せて栄養不足で骨粗鬆症になる人もいれば、2型糖尿病で骨の質が悪い人もいます。若い頃の子宮の病気で早い年代で閉経を迎えるなど、骨粗鬆症の原因もさまざまです。年代や骨折した経験の有無でも、転倒・骨折のリスクは変わります。両親が骨粗鬆症だったなど、家族歴にも関わり、その人の状態に合わせた薬の処方や生活指導は欠かせません。それがオーダーメイド医療です。

どのような薬がよいのか、運動の強度、食事の工夫など、患者さんに合わせて治療や指導を行うことが重要視され、実現に向けた取り組みが進められています。

 

取材・文/安達純子


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千葉優子(ちば・ゆうこ)先生

東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科専門部長。骨粗鬆症外来担当。群馬大学医学部卒。東京大学大学院博士課程修了。2018年より現職。

この記事は『毎日が発見』2018年9月号に掲載の情報です。

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