日本国内で1700万人以上の患者数が推計されている「骨粗鬆症」。骨がもろくなると、寝たきりにつながる要介護4または5の原因第3位である「骨折」になりやすくなってしまいます。骨粗鬆症を自分で予防&改善するための方法を、東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科専門部長の千葉優子先生に伺いました。
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室内で尻もちをついて、または敷居でつまづいて骨折。このようにささいなことで骨折するなど、骨がもろくなる骨粗鬆症の患者数は国内で1700万人と推計されています。その多くは女性です。
「女性は閉経後の急激な女性ホルモンの減少で骨の破壊が進みます。そして骨密度が低下して、骨がもろくなりやすいのです。早い段階で生活習慣を見直して、骨を強くするように心がけていただきたいですね」と千葉優子先生。
寝たきりにつながる要介護4または5の原因の第3位は骨折・転倒です。そうなる前の「骨活」が大切。骨が弱くなりやすいのは、「運動不足」「カルシウムなどの栄養不足」「部屋にこもりがちな日光不足」の三つの不足が関係しています。これらを解消することで予防が可能です。
「2型糖尿病の人も、骨の柔軟性が失われて骨が弱くなります。骨密度や骨質測定を受け、必要に応じて薬も活用しましょう」
骨を守って楽しい生活をキープすれば、寝たきり回避にもなり、何も取り組まない人との差は歴然です。
骨粗鬆症になりやすい人は...?
□閉経後の女性
□ぜんそくやリウマチの治療でステロイド内服薬を服用している
□どちらかというと「やせ型」である
□カルシウム、ビタミンの摂取量が不足している
□過度の飲酒や喫煙習慣がある
□運動不足
両親などに骨粗鬆症の人がいる遺伝的な要因、ステロイド内服薬の長期服用、若い頃に子宮全摘をした人、乱れた生活習慣の人などは骨粗鬆症になりやすいといえます。
60代の女性3人に1人は骨粗鬆症(31.8%)※
閉経後の女性は骨密度が急激に低下しやすく、60代の女性の3人に1人は骨粗鬆症と推計されています。
70代の女性2人に1人は骨粗鬆症(49.6%)※
加齢で骨密度の低下に拍車がかかり70代の女性の2人に1人は骨粗鬆症に。要介護の原因の一つにも。
※骨密度70%未満の年代別症例数(総務省人口推計より推定)
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取材・文/安達純子 イラスト/赤池佳江子