日本国内で1700万人以上の患者数が推計されている「骨粗鬆症」。骨がもろくなると、寝たきりにつながる要介護4または5の原因第3位である「骨折」になりやすくなってしまいます。骨粗鬆症を自分で予防&改善するための方法を、東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科専門部長の千葉優子先生に伺いました。
前の記事「1分半の「ながら体操」で骨を強く。家事の合間に骨は鍛えられます/骨活(3)」はこちら。
「1日3回の食事をバランスよく食べれば、必要な栄養素を自然に摂ることができます。特に意識していただきたいのは、小松菜やほうれん草などの色の濃い野菜です。いつもの食事に足して、いろいろな食材を食べるようにしましょう」
近年、高齢者のフレイル(虚弱)が、介護の必要がない健康的な生活を脅かすとして問題になっています。
骨が弱くなる骨粗鬆症、筋力が低下するサルコペニアなどはフレイルを助長するのです。その原因となっているのが栄養不足。栄養素をしっかり補うようにしましょう。
●バランスの良い食事を
カルシウムは、ビタミンDがなければ体内に吸収されません。ビタミンDは腸内でカルシウムの吸収を促し、ビタミンKは吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助けます。
乳製品の積極摂取のために、牛乳や豆乳を牛乳をそのまま飲むのが苦手ならコーヒーや紅茶に入れてみましょう。コレステロールが心配な人は、低脂肪や無脂肪の牛乳を選びましょう。
●葉野菜は油を使って調理を
ビタミンKは色の濃い葉野菜に多く含まれます。脂溶性ビタミンなので油を使った料理で。
●お日さまパワーを活用しよう
しいたけは紫外線に当たるとビタミンDが増えます。干ししいたけを積極的に食べましょう。生しいたけを使う前に天日に干しても良いですよ。
●納豆の有効活用を
納豆はビタミンKが豊富で、カルシウムやたんぱく質も多く含み、骨の健康にはとても良い食材です。ただし、血栓症予防のために抗凝固剤を服用している人は薬効の妨げになることもあるので、医師と相談を。
ビタミンD
1日の目標摂取量は10~20μg(マイクログラム)。魚、しらす干し、きのこ類に多く含まれる。しらす干し10gで約6μgの摂取が可能。
たんぱく質
1日の目標摂取量は男性60g、女性50g。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品に多く含まれる。鶏肉100gで20g、牛乳1杯(200ml)で約6.6gの摂取が可能
カルシウム
1日の目標摂取量は700~800mg(ミリグラム)。乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、ごま、魚などに多く含まれる。桜えび10gあたりで約69mgの摂取が可能
ビタミンK
1日の目標摂取量は250~300μg。ブロッコリー、小松菜などの緑黄色野菜、鶏肉、納豆などに多く含まれる。100gあたりの小松菜で約200μg、ブロッコリーで160μgの摂取が可能
次の記事「いつものメニューにちょい足し! しらすやチーズ、桜えびで骨を強く/骨活(5)」はこちら。
取材・文/安達純子