寝る前も水を飲むべき? 薬の影響は? 知っておきたい熱中症Q&A

pixta_40142629_S.jpg屋外だけでなく、屋内でも発症する危険が高い熱中症。みなさんさまざまな対策をしていると思いますが、「エアコンをつけているけれど、温度は何度に設定したらいいんだろう?」「水分って、何を摂ったらいいんだろう?」など、いろいろな疑問が湧いてくると思います。そこで、熱中症に関するさまざまな疑問に、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅康史先にお答えいただきました。

前の記事「熱中症は命の危険も! 熱中症時の体を冷やすための4つのポイント(3)」はこちら。

 

Q.熱中症対策のためのエアコンの設定温度は何度が適正ですか?
A.環境省がすすめるクールビズの「室温28℃」をエアコンの設定温度だと勘違いしている人が多いようです。エアコンを28℃と設定しても室温が28℃になっているとは限らないのです。大切なのは、"自分がいる場所"の温度を測ること。快適な室温は年齢など個々により異なるので、室温28℃を目安に自分にとっての適正温度を見つけましょう。

 

 
Q.65歳以上の熱中症患者の多くが自宅で発症しているのは本当ですか?
A.熱中症の発生場所は、若年層は屋外、65歳以上は屋内であることが多く、65歳以上で救急搬送された熱中症患者の5割以上が屋内で発生しています(国立環境研究所「熱中症患者速報 平成27年度報告書」より)。エアコンや扇風機を活用する、すだれで日よけをするなど室内の温度管理をしましょう。

 

 
Q.脱水症には薬が影響することはありますか?
A.心臓病や高血圧の薬には利尿作用を含むものがあり、脱水を促進させる場合があります。精神疾患などで服用する向精神薬には汗が出にくくなる作用があります。こういった薬の副作用で熱中症のリスクは高まります。また糖尿病により多量の尿が出る場合も脱水症状に陥りやすくなります。

 

 
Q.コーヒーやお茶は利尿作用がありますが、飲んでもいいですか?
A.脱水を予防するための水分補給には、水、そしてカフェインを含まない麦茶が適しているといえますが、コーヒーや緑茶も飲み過ぎなければ問題ありません。ただしアルコールは体内の水分を排出してしまい、水分を摂取したことにならないので注意が必要です。

 

 

Q.熱中症で後遺症が残ることはありますか?
A.重度の熱中症患者の約3%に後遺症が残り、認知症、四肢まひ、嚥下障害など脳の中枢神経のダメージにより引き起こされる障害が多く見られます。そうならないためにも、脱水症の初期段階である「かくれ脱水」に気付いて予防することが大切です。

関連記事:「その症状、夏バテではなく「かくれ脱水」かも! 適切な水分補給を心がけて(1)」

 

 

Q.熱中症予防の水分補給に牛乳が良いとは本当ですか?
A.牛乳は体に良いものですが、飲むだけで熱中症を予防するわけではありません。運動直後30分以内に牛乳を飲むことで体温調節機能を改善することが報告されていることから、暑さに強い体作りのために適しているといわれています。これに限らず、適度な運動で体力をつけることは熱中症予防に有効です。

 

 

Q.寝る前に水分を摂らないと、熱中症になりますか?
A.就寝中にも汗をかくなどして水分が失われるため、特に夜間にトイレに起きるのが嫌だからと普段から水分摂取を控えている人は、熱中症になるリスクが上がります。さらに夜間にエアコンをつけない部屋は危険信号です。
夜間にトイレに起きるのは熱中症予防のためと割り切り、就寝前にコップ1杯の水を飲み、夜中にトイレに起きたら布団に戻る前にまた1杯の水を飲む、そして朝起きたらまた1杯の水を飲むということを心がけましょう。

 

 

Q.外出しない方が熱中症になりませんか?
A.普段から外出をしない人は、気温の変化を肌で感じる機会が少ないため暑さに適応しにくかったり、運動量が少ないため体力が足りていない可能性が。私たちは初夏から外出をして暑さに慣れることで、暑さに強い体になります。また、外出することは室内で倒れるなど緊急時に協力し合う近隣との関係作りにも重要です。ただし真夏の日中の外出は熱中症になるリスクが高いので控えましょう。

※参考:「熱中症環境保健マニュアル2018」(環境省)

 

取材・文/ほなみかおり 


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三宅康史(みやけ・やすふみ)先生

帝京大学医学部救急医学講座教授、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長。日本救急医学学会専門医 指導医 評議員、日本集中治療医学会専門医 評議員、日本脳神経外科学会専門医 評議員、日本救急医学会 熱中症に関する委員会委員長など。さまざまなメディアで熱中症予防の啓発に尽力。

この記事は『毎日が発見』2018年8月号に掲載の情報です。
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