「経口補水液」は治療薬です。正しい利用法で熱中症対策を

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温度に対する感覚は年齢とともに衰えていきます。50代以上になってくると、脱水症状の初期段階を夏バテと誤解することも。
熱中症を発生させやすくなる「かくれ脱水」について、帝京大学医学部救急医学講座教授で帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長の三宅康史先生にお話を伺いました。

前の記事「その症状、夏バテではなく「かくれ脱水」かも! 適切な水分補給を心がけて(1)」はこちら。

 
熱中症対策には経口補水液が効果的だと広く知られています。ドラッグストアなどで入手しやすいですが、正しい利用方法を知っていますか?
健康なときに予防のために飲むのではなく、体調が崩れたときの治療として飲むのが効果的なのです。
 

●経口補水液は発展途上国の"治療薬"でした。

水に塩分や糖分がバランス良く配合され、失った体液を補える経口補水液。そもそもWHOが発展途上国で脱水を伴う病気の赤ちゃんの治療のために用いたもので、「予防」のためではなく、「治療」のための飲み物です。熱中症や脱水症になったときの他、食欲が落ちるなど体調不良のときに飲みましょう。

 

●飲み方は"チビチビ"ゆっくりと

経口補水液は冷やした方が飲みやすいのですが、冷たいものをゴクゴク一気に飲むと胃腸に負担がかかります。自力で水分が補給できない人にはスプーンですくって、自力で飲める場合は「チビチビ」とゆっくり飲んでください。

 

●飲んでよいのは1日2本まで

経口補水液の摂取目安量は大人で1日500~1,000ml。500mlのペットボトル2本まで。商品の使用上の注意にも「医師、薬剤師、看護師、栄養士の指導に従ってお飲みください」などと書かれています。健康な人が飲み過ぎると高血圧や心不全になる危険性がありますので、予防より治療のために飲むことが推奨されます。

 

●かくれ脱水のときはスポーツドリンクで十分

経口補水液は治療のために飲むもの。予防や、脱水症の初期段階である「かくれ脱水」(記事リンク:気付かぬうちに熱中症に!? 熱中症の原因は「かくれ脱水」です)でも食欲がある場合などは、経口補水液よりも安価な水や麦茶、スポーツドリンクで十分です。スポーツドリンクは経口補水液よりも塩分は少なく、糖分は多く含まれます。

 

●緊急時には自分で作れます

緊急時に「自宅に買い置きがなかった!」という場合に、経口補水液は自作できます。作り方は1リットルの水に食塩1~2g、砂糖大さじ2~4(20~40g)を混ぜるだけ。レモン果汁やはちみつを混ぜると飲みやすくなります。ただし作り置きはできません。作りたての清潔なものを服用しましょう。

※参考:「熱中症環境保健マニュアル2018」(環境省)

 

次の記事「熱中症は命の危険も! 熱中症時の体を冷やすための4つのポイント(3)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり


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三宅康史(みやけ・やすふみ)先生

帝京大学医学部救急医学講座教授、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長。日本救急医学学会専門医 指導医 評議員、日本集中治療医学会専門医 評議員、日本脳神経外科学会専門医 評議員、日本救急医学会 熱中症に関する委員会委員長など。さまざまなメディアで熱中症予防の啓発に尽力。

この記事は『毎日が発見』2018年8月号に掲載の情報です。
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