例年になく暑い2018年の夏。熱中症に関するニュースが続いていますが、熱中症は屋外の太陽光の下だけで起こるわけではなく、室内でも発症するってご存知ですか? 2016年7~8月の熱中症入院患者のうち実は、40%以上が屋内で発症しています。また、入院患者のうち約60%が61歳以上です(出典:平成28年7月1日~8月31日に報告された熱中症入院患者数・厚生労働省発表より)。
そこで、室内熱中症になる原因を多摩総合医療センター救命救急センター長の清水敬樹医師に伺いました。
「屋外の熱中症患者はスポーツなどを行う若年層に多く、短時間で発症します。一方、室内熱中症は60代以上に多く、日常生活の中で徐々に悪化するのが特徴です」と、清水先生。加齢により気温に対する感受性や体温調節機能が低下。気付かないうちに脱水症状に陥るといいます。
「60代以上はクーラーの使用を控える傾向があるのも要因の一つ。夏バテで体力が落ちていると熱中症になりやすいので、冷房用機器は活用してください。また、室内熱中症で患者が救急搬送されるのは12~13時が多く、暑くないと思いがちな午前中の対策も重要と考えられます」。
熱中症の初期症状には、生あくび、頭痛、めまい、大量の発汗、強い口の渇き、こむら返り、筋肉痛のような症状が表れます。自分自身や家族間で不調のサインを見逃さないことが大切です。
「熱中症かな」と思ったら、部屋を涼しくて水分をとり、安静に。自力で水が飲めなかったり、または30~60分安静にしても改善しない場合は病院へ行きましょう。
やはり重要なのは、水分のこまめな摂取。室内であれば経口補水液ではなく、普通の水で十分だといいます。「1日に約1200mlを目安に水を飲みましょう。特に入浴は40℃以下のぬるま湯にし、入浴後は400~500mlを目安に飲水してください。持病がある人は1日に飲んでよい水の量を主治医と相談してください」と清水先生。
ほか、予防に有効なアイテムも3つ伺いました。
1. よしずやすだれ、冷房用機器
よしずやすだれで部屋に陰を作ったり、クーラーが苦手なら冷風機や扇風機を活用して風を通すなど、部屋の温度を下げる工夫が大切です。
2.熱中症計
天気予報で流れる熱中症指数など、危険度が"見える化"された情報を活用しましょう。気温、湿度、日射・輻射熱から計測されるWBGT(暑さ指数)に対応している熱中症計もお薦めです。
3.昆布茶
昆布茶や梅昆布茶は、適度にミネラルや塩分を摂取できるので、ティータイムに取り入れてみては。持病がある人は塩分の取り過ぎに注意してください。
室内でも侮らず、グッズも活用して熱中症を予防し、夏を乗り切りましょう。
文/毎日が発見編集部