平成30年2月に気象庁より発表されたこの夏の見通しによると、全国的に平年より気温が高く、暑い夏となる見込みです。2010年以降増加傾向にある熱中症患者、そのピークは6月~9月と言われています。特に子どもやお年寄りの脱水症状、熱中症は命に関わることもあるため、その症状や事前の予防対策についておさらいしておきましょう。
熱中症はなぜ起きる? 熱中症の原因と症状
熱中症や熱射病を引き起こす最大の原因は脱水症状です。暑い時、身体は発汗により体温を下げて調整しようとしますが、過剰に水分が失われると体温調節ができなくなり健康障害を引き起こします。
<重症度による症状の違い>
熱中症はその重症性がⅠ度~Ⅲ度に分類されます。具体的な治療の必要性により判断されますので、意識障害など重篤な場合は、早急な緊急搬送などの対応が必要です。
・Ⅰ度 軽症
めまいや立ちくらみ、こむら返り、大量の発汗症状
・Ⅱ度 中等
頭痛、吐き気、倦怠感(だるさ)
・Ⅲ度 重症
意識障害、痙攣、身体が自由に動かせない、体温が異常に高い
重症化させない正しい予防対策と対処方法
熱中症の予防で一番大切なのは、体温を上げないことです。暑いと感じたらエアコンや扇風機を利用し、体を冷やすことを心がけましょう。
また、体内の体液は、水分だけでなく、塩分が水に溶けた電解質という成分とで構成されているため、水分だけを補給しても脱水症や熱中症を起こしてしまいます。水分と同時に塩分やミネラル、カリウムを適度に摂取する必要があります。食塩やブドウ糖などが配合された経口補水液を飲む、水分と同時に塩や梅干しを摂取するなど塩分補給も忘れずに。
熱中症は暑い炎天下でなくても発症します。特に湿度の高い日や風のない日などは注意が必要です。体の熱を上手に外に放出できるように、「喉が渇いた」と感じる前に、こまめな水分・塩分補給をすることで、体温調整をスムーズにおこなうことができます。
利尿作用の強いコーヒーやお茶、お酒の取り過ぎに気をつけ、大量に摂取した翌日はいつもより注意してセルフケアをおこないましょう。
夏の平均気温が上昇を続けるなか、熱中症の患者数は増加の一途をたどっています。特に体温調節機能が発達していない子どもや、暑さに対する感覚の低下がみられる高齢者に対しては、周囲の注意が不可欠です。
文/大塚 香