「食欲がない」「胃がもたれる」「胃がキリキリと痛む」......誰もが一度ならず経験があるのではないでしょうか。胃の調子は健康のバロメーター。不調であれば、「食べた物が悪かった?」「それともストレスが大き過ぎた?」と考え、食べる量を控えるなどして、胃の健康を保とうとします。なぜ、胃の調子は悪くなってしまうのでしょう。しょっちゅう起こる胃痛や胸やけから、胃食道逆流症、胃潰瘍や胃がんまで、兵庫医科大学病院副病院長の三輪洋人先生にお聞きしました。
前の記事「重い、張ってる、キリキリ...胃の「感じ方」と病気の関連は?/胃の不調(13)」はこちら。
胃の三大機能をおさらい
最後に、胃の三大機能をおさらいしましょう。
●胃酸を出す
強力な胃酸を出すことで、食べた物を消化して殺菌する。ピロリ菌の除菌や薬の副作用などで、胃酸の量が増えることがある。
●動く
胃が運動することで消化を促進する。自律神経のもとで動いている。自律神経のバランスが崩れると、動きが悪くなる。
●感じる
満腹感などを感じる。過敏になっていると、少量の食べ物で胃もたれを感じたり、胃酸で痛みを感じる。
内視鏡検査で胃や食道の内部に病気が見つかった場合には治療します。機能性ディスペプシアや胃食道逆流症などであれば、服薬をしながら、自律神経のバランスを整えることが不調の解消につながります。
「睡眠、運動、そして食事のリズムを整えるようにしましょう。胃に不調を感じているということは、体が過剰に緊張状態にあり、胃が過敏になり、その不調がさらに不安を膨らませるという悪循環に入っているのかもしれません。
緊張状態をほぐすには休息が必要です。夜には十分な睡眠をとって体をよく休ませます。遅い時間の食事は、休息の妨げになるので、なるべく控えた方がよいでしょう。また散歩などの軽い運動は爽快感があり、ストレスを軽くしてくれます」
自律神経を整え、胃の不調を緩和する習慣
自律神経の乱れを整えることは、機能性ディスペプシアなどの胃の不調の緩和に役立ちます。
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●日中は活発に過ごし、夜はリラックスする
規則正しい生活を心がけましょう。朝は日の光を浴び、日中はよく体を動かして、交感神経を優位にします。日中に代謝が活発になると、夜、副交感神経が優位な状態に切り替わりやすくなります。夜は早めに夕食を摂り、リラックスして過ごし、早めに就寝します。
●入浴は、ぬるめのお湯にゆっくりとつかる
熱過ぎるお湯に入ると交感神経が刺激されるので注意。入浴は、ぬるめのお湯にゆっくりとつかることでリラックス効果が得られ、ストレス解消につながります。腰までつかる半身浴でも、20分ほど入っているとじんわりと汗をかいて、血行も改善。副交感神経が優位になり、寝つきもよくなります。
●十分な睡眠
十分な睡眠は、健康な体を維持するための基本です。睡眠不足で疲労が蓄積されると神経が過敏になり、胃はいつもの刺激にも大きく反応してしまいます。寝る直前には食べることを控え、テレビやスマホなどの明るい光の刺激を避けるようにしましょう。気分の落ち込みで寝つけなかったり、早朝に起きてしまうといった場合には、「うつ」になっていることもあります。抗不安薬や抗うつ剤で不眠が解消できることもあります。
●散歩やウォーキングなどの有酸素運動
機能性ディスペプシアなど、胃の不調に悩んでいる人は、運動習慣が少ない傾向にあります。ウォーキングやゆっくりとしたジョギングなどの有酸素運動は、心身をリラックスさせる効果があります。30分ほどの散歩でも効果があります。運動を習慣づけると、夜に眠りやすい、朝はすっきりと目覚めやすい、体調が整い、空腹感を感じて食欲がわきやすいといった効果があります。
●禁煙する
タバコに含まれるニコチンは、交感神経の働きを優位にしてしまいます。また、タバコは胃がんや食道がんのリスクを高めます。我慢するだけの禁煙が難しい場合には、市販の禁煙補助剤を利用する方法もあります。タバコへの依存度が高い場合には、医療保険の適用で受診でき、禁煙補助剤が処方されます。
取材・文/三村路子