重い、張ってる、キリキリ...胃の「感じ方」と病気の関連は?/胃の不調

pixta_22903426_S.jpg「食欲がない」「胃がもたれる」「胃がキリキリと痛む」......誰もが一度ならず経験があるのではないでしょうか。胃の調子は健康のバロメーター。不調であれば、「食べた物が悪かった?」「それともストレスが大き過ぎた?」と考え、食べる量を控えるなどして、胃の健康を保とうとします。なぜ、胃の調子は悪くなってしまうのでしょう。しょっちゅう起こる胃痛や胸やけから、胃食道逆流症、胃潰瘍や胃がんまで、兵庫医科大学病院副病院長の三輪洋人先生にお聞きしました。

前の記事「内視鏡検査なら、病気の早期発見でメリット高い/胃の不調(12)」はこちら。

 

胃の不調を表現するのは難しい

自律神経と深いつながりのある胃は、ストレスで痛むこともあり、痛いのに炎症がないこともあります。自分で自在に動かすことはできませんし、食べ過ぎればすぐに調子が悪くなることがあります。一方で、病気があるのにもかかわらず、症状が出ないこともあり、とてもやっかいです。

「胃の不調をどのように表現しますか?『重い』『キリキリと痛い』『張った感じがする』......様々な表現がありますが、うまく表現するのはとても難しい。実際に、『何というか、何ともいえない感じが......』『胃が重い......と言っていいのだろうか』などと話す患者さんは多くいます。もしかすると『チクチクと痛い』というくらいは、感じていることと表現が合っているかもしれません。

それにうまく表現できたとしても、それが相手にきちんと伝わるかといえば、それも難しいのです。Aさんの『キリキリ痛む』とBさんの『キリキリ痛む』は、言葉は同じでも、全く違う症状をさしているかもしれません」と三輪先生。

 
胸やけって、どんな感じでしょう?

では、ここで質問です。「胸やけ」とは、どんな症状でしょうか?

「胸のあたりが重苦しい」「胸のあたりがそわそわする」「胸のあたりがどーんとする」「こみ上げてくる感じがする」「詰まっている感じで食欲が出ない」......どれも不正解です。

三輪先生からの正解は、「医学の世界で『胸やけ』とは、胸を中心として、灼熱感、燃えるような痛みがあり、のどや肩に放散する感じがある」とのこと。まさに胸のあたりが焼けているようだ、という状態です。言葉に対する誤解があり、症状を他人に伝えることが困難な場合もあります。

 
症状から病気の特定はできない

「胃の不調は、訴えの内容から病気を特定することは、まずできません。
私のところで行った研究からも、そのことがわかる結果が出ています。何人かの胃の中に管を入れて、少しずつ胃酸を入れていく実験をしました。どんな症状が現れたかと言いますと、ある人は『気持ちが悪い』と言い、またある人は『チクチクする』と言いました。別の人は『重い感じがする』と言いました。体の中で起きた同じ刺激に対して、人の反応は全く違うわけで、訴えから、病気を類推することはできません。訴えと病気は紐づかないのです。

万人がさまざまに腹部の不調を訴えます。病気はわからないけれど、不調だという訴えはあるわけです。とくに上腹部(へその上のおなか)の不調の訴えのすべてを『ディスペプシア』という一つの言葉にまとめていました。やがて胃酸の問題、動きの問題、知覚過敏の問題があるとわかり、薬もできました。

その訴えで病気が見つかるかはわからないのですが、話して聞いてもらうと症状が治まることもあります」(三輪先生)

 

次の記事「24時間中にリラックスする習慣を組み入れ、胃の不調を和らげる/胃の不調(14)」はこちら。

取材・文/三村路子


1807p112_prof.jpg

三輪洋人(みわ・ひろと)先生

兵庫医科大学理事・副学長。兵庫医科大学病院副病院長。内科学消化管科主任教授。1982年、鹿児島大学医学部卒業。医学博士。専門は、消化器内科一般のほか、特に逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、ピロリ感染症の診断と治療、また内視鏡による胃がんの早期診断と化学療法。著書に『「胃もたれ・胸やけ」は治せる 機能性ディスペプシア・胃食道逆流症・慢性胃炎』(NHK出版)ほか。

(参考資料)
『「胃もたれ・胸やけ」は治せる 機能性ディスペプシア・胃食道逆流症・慢性胃炎』(NHK出版)
日本消化器病学会ガイドライン 
・厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP