急にくる「下痢」や長く続く「便秘」に悩んでいる女性も少なくないはず。そこで、排便トラブルのスペシャリストである大腸・肛門機能の専門医による話題の書籍から「排便の正しい知識と対処術」をご紹介!目指すべき理想の便「するするバナナ」についてや、多くの人が誤解して陥りやすい「うんこトラップ(罠)」、またその予防・対処術としての「うんトレ」のエッセンスを、連載形式でお届けします。
※この記事は『うんトレ ― 誰にも言えないうんこのトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(神山剛一・医療監修/方丈社)からの抜粋です。
腸の時間も整えよう
すっきり目覚めた朝は快便できることが多いのは、気のせいではないといいます。「するするバナナ」と睡眠にはつながりがあるのです。
朝は目覚めて夜眠くなる睡眠のサイクルのように、人の体には1日周期の生体リズムがあります。体内時計と呼ばれていますが、腸もその影響下にあります。たとえば、腸内細菌フローラも、1日の中でバランスが変化することがわかっています。
腸は自律神経がコントロールしています。自律神経は体内時計により、日中は活動や緊張モードである交感神経優位の状態、睡眠時にはリラックスモードの副交感神経優位になり、体温や血圧、体内のホルモン分泌などを調整しています。
ところが、杏林大学名誉教授・日本ブレインヘルス協会理事長で、脳の健康の第一人者である古賀良彦先生によると、人の睡眠リズムはいとも簡単に乱れるといいます。確かに、寝不足、あるいは不眠を訴える人の多いこと。仕事やプライベートで何かあったとき、真っ先に犠牲になるのが睡眠時間です。体内時計に影響することで、排泄はじめ全身の不調につながっていたのですね。
古賀先生は、「充実した活動、いきいきした人生のためにも、積極的に睡眠をマネジメントしていくこと」とアドバイスします。
前回に加えて、取り組みやすい、5つのポイントをご紹介します。
●日中に体を動かす
夜中に何度も目が覚めてしまうタイプの人には、日中の活動量が足りていない人が少なくないといいます。とくに、「若いころみたいにぐっすり眠れない」という人は、加齢とともに必要な睡眠時間が減っているのに気づかず、活動も減っていることが多いそうです。
用もないのに何となく夜更かしをしてしまい、日中に眠気に襲われるという人もこのタイプです。意識して日中は体を動かし、1日の中でめりはりをつけましょう。
できれば、夕方~夜に、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れるといいでしょう。運動といっても、軽く汗をかく程度で十分です。夕方に運動をすると皮膚近くの血行が良くなることで、深部体温が下がりやすくなり、寝つきが良くなります。
●寝る前の食事を止める
寝る前に食事をすると、胃の中に未消化の食べ物が残ったままになります。胃は、睡眠中にもはたらかなくてはならず、睡眠の質を下げてしまいます。また、朝に胃もたれして朝食を抜くなど、食のリズムの乱し、便通を悪くすることにつながります。食事は腹八分目、就寝の2時間前までにすませるようにしましょう。
また、晩御飯を食べても就寝前に空腹になる人もいます。寝ている間のエネルギーを確保しようとする生き物として自然なことだといいますが、温かい物を少量飲む程度で空腹感を紛らしたほうが良さそうです。
●睡眠環境を整える
寝室は、落ち着いて眠れる空間になっているでしょうか。布団の中だけでなく、室温や湿度も睡眠の質に影響します。夏は25~28℃、冬は15~18℃です。湿度は通年40~60%なので、夏は除湿、冬は加湿に気をつけます。明るい光は脳を覚醒させてしまうので、寝る前は優しいものを。就寝時は、真っ暗よりも小さな明かりがある程度にします。窓の外の光が気になる場合は遮光カーテンを選ぶなど、適度な暗さを保てるよう工夫します。
枕の高さが合っているか、シーツや布団カバーがちくちくしないかなども、案外睡眠中にストレスとなって、熟睡を妨げることがあるそうです。
●自分がリラックスできるものを見つける
穏やかな音楽やアロマセラピーなど、就寝前に自分がリラックスできるものを見つけましょう。
避けたいのは、寝る前ぎりぎりまでスマートフォンを使用することです。夜はできるだけ、明るい光の刺激を避けたいのですが、スマートフォンの画面はバックライトを使っており、入眠の妨げとなってしまいます。同じ理由から、テレビやパソコンも良くありません。また、これらは情報量も多く、脳が処理しようとして活性化してしまいます。使用は、就寝1時間前ぐらいまでに終わらせたいものです。
さて、快便のための快眠について取り上げてきましたが、快眠のためにも快便をめざすと良いようです。便秘など便通に異常のある人は、そうでない人に比べて睡眠の質が低下しているといいます。また、食事による刺激は、体内時計の調整に役立っているとされています。快眠・快便、両方から体を整えていきたいものです。
かわいいイラストを使って「排便の正しい知識と対処術」が分かりやすく解説されています