医師が教える「膀胱炎のリスクを減らすトイレ術」

「排尿しようとすると下腹部が痛む」「トイレに行く回数が増えた」「残尿感がある」などの症状に悩まされたことのある人は少なくないのではないでしょうか? もしかしたらそれらの症状は「膀胱炎」のせいかもしれません。膀胱炎はその名のとおり、尿をためる膀胱で炎症が起きる病気です。診断もしやすく治療しやすい病気ですが、一方で人によっては繰り返すことも多い病気。そこで、膀胱炎になる原因や理由、予防法を、医療法人 東和会第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンター長の竹山政美先生に教えていただきました。

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細菌感染による膀胱炎の他、慢性疾患や体質的な異常がある場合も

「膀胱炎の多くは、細菌感染が原因です。本来、無菌であるはずの膀胱に、尿道口から大腸菌などの細菌が侵入し、膀胱の中で増殖することによって膀胱炎を発症します。実は一口に膀胱炎といっても、原因によって種類があります。細菌感染が原因となって起こる膀胱炎は、"急性単純性膀胱炎"、"複雑性膀胱炎"、"繰り返す膀胱炎"の3つのタイプに分けることができます」と、竹山先生。

●急性単純性膀胱炎


膀胱自体に原因となる疾患はなく、細菌が原因で起こる感染性の膀胱炎で、最も多いタイプです。細菌によって膀胱の粘膜に炎症が起こり、頻尿や残尿感の他、おしっこの出終わりに痛むなどの症状があり、炎症がひどいときには血尿が出ることもあります。

かぜなどのウイルス感染や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下した状態のときに、細菌が膀胱に侵入すると発症します。 また、妊娠や性交渉、月経が誘因となって発症することもあります。

通常、炎症は粘膜内にとどまり、抗生物質(抗菌薬)を3~7日程度服用すれば治癒します。年に1~2回膀胱炎にかかっても、症状がなくなってしまえば心配はありません。

●複雑性膀胱炎

排尿疾患など、他に原因となる病気などがあって膀胱炎が引き起こされているタイプです。代表的な基礎疾患は、形態的な尿停滞(何らかの理由で尿の排泄が妨げられた状態)や尿路周囲の癌、前立腺肥大症など。カテーテルなどの異物を長期間入れている場合も該当します。これらの場合、基礎疾患の治療が必要です。

●繰り返す膀胱炎

性交渉の後に膀胱炎になることが多い女性の場合、外尿道口が膣口に近い構造を持っていることがあります。性交渉の際に外尿道口が大きく開き、細菌が尿道を経由して膀胱に入りやすくなってしまうのです。簡単な手術で治療できる場合があるので、できるだけ早めに膀胱・尿道関連の疾患が専門である泌尿器科で相談しましょう。


細菌感染を予防するには排尿・排便後の清潔を心がけて

膀胱炎を引き起こす大腸菌などの細菌は、排便などで大腸の外に出てきますが、その際に肛門や膣の周りに付くことがあります。そのため、すぐ近くにある尿道口から、これらの細菌が侵入することがあります。しかも女性の場合は、体の構造上、尿道が短いため、尿道口に侵入した大腸菌が、尿道から膀胱へと入りやすいわけです。

「大腸菌が尿道口へと入り込むことを防ぐためには、排便後の処理の仕方に注意をしましょう。排便後は、"前から後ろに拭く"ことを心がけてください。決して、後ろから前に拭いてはいけません。後ろから前に拭くと、肛門周囲の大腸菌を尿道口に付着させてしまう可能性があるからです。また、排尿後は、トイレットペーパーを三重ぐらいにして、下からじっと押し当てるのが清潔を保つ方法。拭き取るのではなく、吸い取るのが正しいです」(竹山先生)

ちょっとした工夫で、膀胱炎を起こすリスクの一つは回避できます。膀胱炎にならないためにも、生活習慣の一つとして身につけてください。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

<教えてくれた人>

竹山政美(たけやま・まさみ)先生

医療法人 東和会第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンター長。

大阪大学医学部卒業。健保連・大阪中央病院泌尿器科勤務、市立堺病院泌尿器科医長、健保連・大阪中央病院泌尿器科部長・医務局長を経て2009年10月に泉北藤井病院/梅田ガーデンシティ女性クリニックにウロギネセンターを開設。2015年3月より現職。著書に、『女性泌尿器科へ行こう! 骨盤臓器脱・尿もれ・間質性膀胱炎の治療と手術を受ける人へ』(共著・メディカ出版)などがある。

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