いびきの音量は「工事現場」レベル! 脳内科医が解説する、眠りの質を落とす「ありがちな現象」

【本作を第1回から読む】7時間半睡眠は7時間半寝ていない!? 正しく理解しておきたい「睡眠の真実」

『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』 (加藤俊徳/アチーブメント出版)第3回【全5回】

朝までぐっすり眠れないのは年齢のせい...。そう決めつけていませんか? あなたが眠れない本当の原因は、意外なところにあるかもしれません。脳内科医で「脳の学校」代表の加藤俊徳氏は、原因と対策がハッキリすれば睡眠が変わり、そこから身体全体が変わると言います。そんな加藤氏の著書『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』から、目からウロコが落ちそうな驚きのエピソードを紹介します。

※本記事は加藤俊徳著の書籍『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。

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生活の質を下げる工事現場並みのいびき

自分のいびきを聞く機会は少ないはずです。たまに自分のいびきで起きるという人がいますが、それはかなり悪い状態なので、すぐに耳鼻科や睡眠専門医の診療を受けるべきです。重度の閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の可能性が高く、酸素不足の中で寝ているため、心身の負担が大きいです。

多くの場合、いびきは家族やパートナーに指摘されます。いびきは男性に多く、日本男性の約20%がいびきをかくともいわれています。

通常、日常生活で問題になるいびきは50~60デシベルほど。これはにぎやかな繁華街や工事現場の音と同じレベルです。これ以上のいびきをかく人もいますが、50デシベルを超えれば騒音といわれても仕方ありません。

いびきとOSAの関係は深いものです。大きないびきをかく人の約70%に無呼吸あり。OSAの人の90%にいびきがあるとされています。

無呼吸以外にも、過度の飲酒や耳鼻咽喉の問題など、いくつかの原因があります。毎日かくわけではなく、時々いびきが出るという人も少なくありません。

「いびきは仕方のないもの。治すもの、治せるものではない」。

以前はそう考えられていましたが、今ではいびきの改善法が原因ごとに明らかになり、いろいろな手段を講じることができます。いびきを改善することは無呼吸を減らすことであり、OSAの改善は、いびきの改善につながります。

本人の健康を損なうだけでなく、家族やパートナーの生活の質(QOL)を下げることもあるいびき。改善することで睡眠の質も上がります。

睡眠薬が睡眠障害を加速させていた

睡眠薬は眠れない人が飲むもの。そんな間違った考えが常識のようになっていることに危機感を覚えています。睡眠薬がすべていけないということではありません。実際に眠れないことで大変な事態になっているのであれば、緊急策として睡眠薬で眠ることも必要でしょう。

いけないのは「眠れなくて困っているけれど、睡眠薬を飲めば眠れるから大丈夫」という認識です。「今さえ眠れればいい」を続けていることです。

歯が痛いから痛み止めを飲んだとします。一時的に痛みは止まるかもしれませんが、虫歯など歯痛の原因が治ることはありません。痛みを止めてすぐ医者に行けばいいけれど、「痛くなくなったからいいや」「痛くなったらまた痛み止めを飲めばいい」、そうして痛みの原因を放っておけば、根本的な症状はどんどん悪くなる一方です。

睡眠障害を病気と捉えずに、睡眠薬の場合はなぜか、漫然と薬を飲み続けている人が多いのです。眠れないことがどれだけ異常なことなのか。 どれだけ多くの原因から生じているのか。さらには、放っておけばどんな重篤な健康障害につながるか。それがわかっていないのです。

 

加藤俊徳(かとう・としのり)
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授
総合内科専門医・医学博士

新潟県生まれ。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。 株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後、帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで脳研究に従事し、「脳の学校」を創業。

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※本記事は加藤俊徳著の書籍『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。

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