基礎疾患がある人や妊婦は? 副反応は?/新型コロナワクチン接種前のいま知りたい7つのこと(中編)

現在、医療従事者等への接種が行われている新型コロナワクチン。これから高齢者、そして基礎疾患をお持ちの方というように、順次接種が進められていく見込みです。安心してワクチンを接種するためには、情報を正しく理解する必要があります。米国立研究機関博士研究員の峰 宗太郎(みね・そうたろう)先生に聞いたワクチンの基本から情報の選び方まで、前中後編でお届けします。

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【疑問】基礎疾患があるとワクチンの接種は難しいでしょうか?

「今回のmRNAワクチンは、これまでワクチン接種で重篤なアレルギー反応が出たことがある人以外は、心配なく打つことができます。基礎疾患がある人は、新型コロナウイルスにかかった場合に重症化するリスクが高いため、むしろ接種をおすすめします。不安な方は、ワクチン接種をする前に、かかりつけ医に相談してみるといいでしょう。また、がん治療中の方も、ワクチン接種は安全性の面から問題がないと分かっています。ただし、通常よりも少し効果が下がる可能性はあります。こちらも、主治医と相談して検討してください」

【疑問】家族に妊婦がいます。妊娠中や授乳中の接種は大丈夫?

「アメリカでは、すでに1万5000人の妊婦が接種していますが、ワクチンが原因の不調はありません。ですが、妊娠中の接種に関しては、現在、ファイザー社によって安全性や有効性を確かめる臨床試験が進められている段階で、分かっていない部分もあります。一方で、妊娠中に新型コロナウイルスにかかった場合、重症化や早産のリスクが高くなるという報告も。また、ワクチンを打つと体の中で抗体が作られますが、胎盤や母乳を通して、胎児や新生児に抗体を移行させられる可能性があります。つまり、新生児を守れるのです。新型コロナウイルスと同じ感染症であるインフルエンザのワクチンは、妊婦推奨です。主治医と相談の上、検討してください」

【疑問】副反応の報道を見ると不安です。本当に安全ですか?

「まず大前提として、mRNAワクチンの接種回数は、世界中で1億回を超えていますが、深刻な副反応は報告されていません。ただし、どんなワクチンでも副反応は起こります。いずれも数日で解消していますので怖がる必要はありません。ワクチンの副反応を考えるときに気を付けたいのが、"有害事象"と"副反応"の区別です。有害事象とは、ワクチン接種後に起こったこと全般を指します。例えば、"ワクチン接種後にじんましんが出た"という場合は、接種による副反応だと考えられます。一方、"ワクチンを接種した後に雷に打たれた"といった場合は、接種との因果関係はありませんが、ワクチン接種後の有害事象に当たります。同様に、ワクチン接種後に持病が悪化して死亡した場合、接種が原因で亡くなったわけではなくても"ワクチン接種後に一人死亡"といった、報道をされることがあります。副反応の報道をみるときには、それがいつ起こったのか、接種との因果関係があるのかという点に注目してみるようにしてください」

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※掲載内容は、3月10日時点の情報に基づいています。

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取材・文/寳田真由美 イラスト/上路ナオ子

 

<教えてくれた人>
米国立研究機関博士研究員 峰 宗太郎(みね・そうたろう)先生
医師(病理専門医)、薬剤師、博士(医学)。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て現職。近著は『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアシリーズ)。

この記事は『毎日が発見』2021年4月号に掲載の情報です。
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