国民が選択を迫られるワクチン接種。森永卓郎さんはどう考える?

定期誌『毎日が発見』の森永卓郎さんの人気連載「人生を楽しむ経済学」。今回は、選択を迫られる「ワクチン接種」についてお聞きしました。

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大多数の国民の気持ちは、「当面は様子見」

新型コロナのワクチン接種が医療従事者を対象に2月にも始まります。

それに続いてその他の国民への接種も始まります。

ワクチン接種は任意ですから、ワクチンを接種するかどうか、ワクチンを接種するとしたら、どのようなタイミングで接種するのか、国民は選択を迫られることになります。

1月のNHK世論調査が、接種したいかどうか聞いたところ、「接種したい」が50%、「接種したくない」が38%、「わからない、無回答」が13%でした。

これだと、国民の意見が二分されているように見えるのですが、12月の読売新聞の世論調査は、もう少し詳しく聞いています。

それによると、「すぐに接種を受けたい」が15%、「急がないが接種は受けたい」が69%、「接種は受けたくない」が15%でした。

つまり、接種を受けるにしても、当面は様子見というのが、大多数の国民の意向だということになります。

国民が迷っている最大の理由は、新型コロナワクチンの安全性に不安があるからです。

一つの不安は、接種直後のリスクです。

アメリカのCDC(疾病対策センター)によると、12月にファイザー製のワクチンを接種した21人に重篤なアナフィラキシー(※)の症状が出ました。

ただ、確率としては、9万人に1人なので、それほど大きいとは言えません。

いちばん大きな不安は、時間をおいて発生する副反応(副作用)です。

これについては、ワクチンが緊急承認されたため、十分な時間をかけた検証が行われておらず、どれだけのリスクがあるのか、はっきり分かっていないというのが実情です。

そのなかで、政府はワクチン接種の優先順位について、①医療従事者等(400万人)、②65歳以上の高齢者(3600万人)、③基礎疾患のある人(820万人)、高齢者施設等の従事者(200万人)とし、その後に一般国民への接種を行う方針を示しています。

医療従事者に最優先でワクチンを接種するのは、世界共通のことです。

日々感染者と向き合わないといけない医療従事者は、一般人と比べて感染のリスクが非常に高いため、副作用のリスクを考えても、ワクチン接種のメリットが大きいからです。

ただ、日本の優先順位は、医療従事者の次に高齢者がきています。

これは、必ずしも世界標準ではありません。

欧州で同様の順位をつけている国はありますが、アメリカや中国は違うのです。

アメリカでは、CDCの指針で、医療従事者に次いで、清掃や介護施設や交通機関などのエッセンシャルワーカーに接種することになっていて、高齢者はその次になっています。

中国でも、ワクチン接種は、まず医療従事者と警察・消防、運輸・交通関係者などのエッセンシャルワーカーが対象になっているのです。

多くの人との接触の機会があり、社会を支える上で必要不可欠な仕事をしている人を優先しているのです。

日本では、高齢者施設の従事者は、高齢者の後になっていることに私は違和感を覚えます。

さらに不思議なことがあります。

日本では昨年7月の段階で、高齢者の他に妊婦も優先接種の対象とされていました。

ところが、9月25日の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、妊婦への優先接種を取りやめたのです。

明確な理由は示されていませんが、私は妊婦へのワクチン接種のリスクを政府が懸念した結果ではないかと考えています。

こうした状況のなかで、私たちは、どのような選択をすればよいのでしょうか。

※主にアレルギーの原因物質が体内に入ることで引き起こされ、複数の臓器に症状が強く表れる状態になること。

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森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て現職。50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館が話題。近著に、『なぜ日本経済は後手に回るのか』(角川新書)がある。

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(森永 卓郎 森永 康平/KADOKAWA)

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この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。

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